フリーのシナリオライターとして活動しています
【華羅皇学院オカルト研究会】

 とある休日。華羅市には前日から雪が降り、今日は軽く吹雪いてもいる。
 そんな中、北陵地区にオカルト研究会のメンバーが集まっていた。
「いーい? 前にも説明したけれど、今日は宵闇の者と業魂のペアだけの集まりよ。目的は戦いに備えての精神鍛錬。タイガでは体力面を、ウチのサークルでは精神面を鍛えることになったの。だからこれから、アンタ達には精神を鍛えてもらうわよ」
 吹雪いている中でも副会長のアーシェス=クロウは大声を張り上げて、集まったメンバー達に説明する。
「ここから宵闇の者と業魂の二人一組で、北陵自然の家に向かってもらうわ。でも途中で道は二つに分かれているから、あえて別々の道を選んで歩くのよ。でも安心しなさい。どっちの道を歩いても、目的地には到着するから」
 一本の道は森の中に通じる道で、もう一本は平原が広がっている道。春になれば森には桜が咲き乱れ、平原も菜の花畑になるので、あえて二本の道が作られたらしい。しかし今の季節では雪景色しか見られないが…。
 アーシェスの隣で寒さに顔を真っ赤にしながら、会長の海老塚汐が安心させるように微笑む。
「到着時間の差は数分程度だから、上手く行けば同時ゴールもできると思うわ。けれど分かれ道の途中で、私達が頼んだ仕掛け人がいるの。特殊霊技を6分間、使うから気をつけてね。あっ、でも傷付けるような霊技じゃないから安心してね」
 ならばどんな特殊霊技なのかと尋ねると、アーシェスがニヤッと嫌な笑みを浮かべる。
「ふっふっふ。本当は『出会ってからのお楽しみ』としたかったんだけど、先に言っておくわ。いわゆる幻覚を見せる能力よ。その幻覚がね、精神鍛錬の内容にピッタリなのよ」
 どうやら宵闇の者には業魂が、業魂には宵闇の者、つまり相方の姿が見えるらしい。だが恐ろしいのは、その出会った幻覚は見る者にとって『見たくはない相方の姿と仕草』をするらしい。
「業魂ってのは基本的に、宵闇の者の希望通りの姿・形になるのは知っているわね。でも中身まではそうじゃないでしょう? 相性が良い者がいれば、悪い者もいる。今回はアンタ達の心の中に秘めた相方への願望を映すから、恐ろしいのよ。でもまっ、良い精神鍛錬になると思うから頑張ってね~」
「あっ、それとくれぐれも幻覚に攻撃したり、触ることはダメだからね? もしそういう行為をした場合、猛吹雪に襲われるから。だから相方の幻覚に惑わされずに、目的地に向かってね」
 汐は心配そうに注意をするも、これ以上の寒さを味わいたくはない参加者達は顔色を青くする。
 最後にアーシェスが笑顔で声をかけた。
「それじゃあ『見たくはない相方の姿と仕草』を、あえて見に行きなさい。私と汐は先に自然の家に行って、あったかいものを用意して待っているからね~」


<解説>
 幻影系の特殊霊技に、自分達がかかってしまうというストーリーです。
 しかもいつも一緒にいる宵闇の者・業魂の『見たくはない姿と仕草』を見てしまうというある意味、恐ろしい幻影です。
 いつもは厳しい人なのに幻影ではとても優しい人に、禁欲的な人が色っぽくなったりと、正反対の姿を見たら面白いかな~っと思って作りました。

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【2013/01/26 12:04】 | ライター
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