フリーのシナリオライターとして活動しています
【タイガ警備保障心霊対策課】

●クリスマスイヴ前夜の悲劇!
 12月23日の深夜――。
入江地区の港にある倉庫の前に、大河アカリは多くの部下を引き連れてやって来た。全員が戦闘用スーツを着ており、誰もが複雑そうな表情を浮かべている。
「――いいか? 相手は我々と同じ宵闇の者や業魂達だ。一体化して戦闘になる場合もあるが、まずは説得を最優先とする。麻酔銃は各々持ったな?」
 アカリが険しい顔で声をかけると、部下達は銃を持ち上げ頷いて見せた。
「…はあ。でもまさか、こんなことになるなんてな」
 タイガ警備保障心霊対策課にアルバイトとして働いている小森宅男は、辛そうにため息を吐く。
「アカリさん、アイツらホントは良いヤツらなんですよ。だから…」
「分かっている、宅男。安心しろ、怪我はさせないようにするから」


 事の起こりは数日前、宅男は同じくタイガでアルバイトをしている人達の秘密の会議を聞いてしまったのだ。
 半信半疑だったものの芹沢千雨に相談してみると、彼女は一応調べてみると言った。そしてどうやら彼らが本気であることを知ったのだ。


 そして今夜、彼らの暴動を止めるべく、アカリは急遽チームを作ってここへやって来た。
 もうすぐ24日に日付が変わってしまう。
 アカリは静かに部下達に合図を送る。倉庫の引き戸に部下達は手をかけ、一気に引いた。
「そこまでだ! 全員、大人しく……」
 アカリの言葉は途中で力を失ってしまう。
 何故なら倉庫にいる者達は全員、顔に黒い三角の目鼻の部分に穴がある布のマスクをかぶっており、体を覆うような黒い布を羽織っているからだ。これでは誰が誰だか分からない上に、性別すら分からない。
「むむっ! アカリさん、何故ここへ?」
「…お前達を止めに来たんだ。クリスマスイヴとクリスマスの2日間、どうやら騒ぎを起こそうとしているようだな。だがお前達は私の会社で働く者達、バカな行動を止めるのが上の者としての責任でもあり役目だ!」
 麻酔銃を向けながら、アカリは険しい声を出す。
「ふっ…。バレてしまったのならば、しょうがない! だが勘違いしていただきたくはない。我々は華羅市市民を全員巻き込むつもりはないのだ。ただ…」
 そこで涙を堪えるように震え、そしてついに本音を暴露した。
「クリスマスだからといって、イチャイチャするカップルが許せんのだあっー!」
「バカかっーーー!」
 アカリの心からの叫びもまた、倉庫内に響き渡る。
 宅男を含め、アカリと共に来た部下達は呆れた表情を浮かべるしかない。
「その為にわざわざ棗屋で、妙な霊技アイテムを大量に買い込んだのかっ!」
「そこまでバレているのならば仕方ない。確かに武器は手に入れた」
 マスクをかぶっている者達は、それぞれ手に銃を持って見せる。白い拳銃はレーザー銃のような形をしていた。
「しかし安心してくれ。この銃は人を傷付けるものではない」
「だが無害というわけでもあるまい?」
 両者の間で静かな、だが激しい火花が散る。
「ではこの銃の威力、お見せしよう!」
 マスクの人物は突如、宅男に銃口を向けて撃った。
「うわっ!?」
 赤い光線が宅男を撃ち抜き、突如白い煙が起こる。
「たっ宅男っ! 大丈夫?」
 宅男の業魂である雨月紫陽花は、慌てて駆け寄った。しかし煙の中から出てきた宅男の姿を見て、その場で硬直する。
「……たく、お?」
「ごほっげほっ! なっ何だったんだじょ……って、あり? にゃんかみんな、おっきくなってにゃいか? …ん? 言葉じゅかいがおかしいじょ」
「ふわ~っはっはっ! 見たかっ、銃の威力を!」
 アカリは高笑いを聞かせられても、呆然と宅男を見るばかり。
 何と今の宅男は三歳ぐらいの少年になっていたのだ! しかもどうやら記憶や心はそのままで、身長のみが縮んでしまったらしい…。
「この銃の光線に当たった者は三歳から十二歳ぐらいの子供の姿になるのだ! …まあ何歳になるのかは、当たらないと分からないのがアレだがな。だが子供相手にイチャイチャはできるまいっ! …さて、と」
 マスクをかぶっている者達の銃口が一斉にこちらに向いたことに気付き、アカリと部下達はギクッと体を揺らした。
「宵闇の者が子供になってしまえば、一体化しても相手にならぬ! 我らの計画の邪魔はさせぬぞ! いくら同僚とはいえ、容赦はしない! 喰らえー!」

 ――そしてしばらくの間、倉庫には激しい物音と人の悲鳴が響き渡った。


●宵闇の者が子供にっ…!
「しまったじょ…。うっかり光線に当たってしまったじょ…」
 頼りになるアカリまで光線に当たり、三歳ぐらいの少女の姿になってしまった。
 ヒナに抱き上げられながら会社に戻ってきたアカリの姿を見て、千雨は一瞬気を失いかける。
 アカリは舌足らずのしゃべり方しかできなくなってしまったので、同行していた他の業魂達から事情を聞く。
 互いに銃を撃ち合った結果、数人は捕獲することができた。しかし大半は逃げられてしまったらしい。しかも向こうは主に宵闇の者ばかり狙って撃ち、業魂達は困惑した顔で幼くなってしまったパートナーを見ている。
「う~ん…。宵闇の者が子供になっても、一体化できるんでしょうか? 小森さんと雨月さん、やってみてくれますか?」
「分かった、やってみるじょ」
「うっうん」
 そして何とか一体化はできたものの…。
「小さっ!? ぶっ武器まで小さくなるんですね…」
 何故か武器まで体のサイズに合ってしまっていた。しかも明らかに、威力は低そうに見える…。
 千雨は苦悩を表情に浮かべ、腕を組んでしばらく考えた。
「…参りましたね。その姿では彼らを追うことは不可能でしょう。……仕方ありません。新たなチームを作って、彼らを追いかけさせます。なのであなた達はしばらく…そのままで過ごしてください」


<解説>
 こちらは宵闇の者が子供になるバージョンです。
 宵闇の者の方が、生きている月日は長いですからね。宵闇の者が子供になったら、人生経験の少ない業魂はどうするか?というストーリーです。

 実はこの二本のストーリーは、とある宵闇の者と業魂の関係性を見て、思いついたシナリオでした。
 宵闇の者は年上でして、業魂はまだ子供です。しかし業魂は宵闇の者に好意を持っていまして、でも宵闇の者は全く気付かない…という関係です。
 ならば宵闇の者が業魂と同じ歳になったら、少しは近付けるんじゃないかな~っと思ったんです。
 業魂編は、まあ宵闇の者編もあるのならば…という感じです。
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【2013/01/26 11:35】 | ライター
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