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 しかし草壁は何事か考えた末、少し神妙な顔で口を開いた。
「沢田さん。それはいつも委員長が食しているものだと、聞かれましたか?」
「えっと…。間食用に買ったものだけど、買いすぎたと聞きました。だからご馳走になれたんでしょうけど…」
「ああ、なるほど」
 理解できたという笑顔になる草壁。
「あっ、もしかして老舗のお菓子とかですか? すっごく高かったりします?」
「いえ、そんなに高くはありません。ただ街外れの少し遠い所に、創業四百年になる和菓子屋があるのをご存知ですか?」
「はい。遠いので中々行けないんですけど、時々母さんが大福を買ってきてくれるので知っています」
「そこでつい最近、発売されたものでしてね。委員長はあそこの和菓子を好みまして、時々間食用に我々が差し上げているんですよ」
「そうだったんですか。あそこの和菓子、長蛇の列ができるぐらい人気ですもんね。手に入れるのにも苦労しそうですね」
「ええ。ですがいつもは委員長一人分だけなので、我々もそう苦労はしていなかったのですが…」
「へっ? 一人分?」
 そう言われれば、さっきヒバリは食べていなかった。
 つまり…。
「…アレ? もしかしてさっきオレが食べたのって、ヒバリさん自身の分?」
 口に出して言うと、血の気が一気に下がった。
 もしかして、とんでもないことをしてしまったのではないかと考えるも、草壁は笑って手を振った。
「いえいえ。委員長自身が貴方に食べてほしかっただけでしょう。お気にする必要はありませんよ」
「あれ? でも買いすぎたって言うのは…」
「貴方に食べてもらうための方便でしょう」
「なっなんでそんな嘘を…」
「委員長も素直ではありませんから」
 そう言って苦笑すると、教室の方を向いた。
「どうやら騒ぎも収まったようですし、我々はこれで失礼します」
 教室から風紀委員の二人が出てくる。それに続いて女子達もゾロゾロと出てきた。
「えっ、草壁さん! 今のはどういう意味が…」
「何てことありませんよ。委員長は自分の好きなものを、貴方にも食べて気に入ってほしかっただけです」
 意味ありげな笑みを浮かべ、草壁は二人を連れて歩いて行った。
 頭の中に?マークが大量に発生するも、次の授業の先生が来たことで現実に戻った。
 慌てて教室に戻ると、疲れた笑顔の山本の姿と、うんざりした表情の獄寺の姿が目に映った。
 そろそろ二人も限界のようだ。
 心の中で同情をしながら、再び席に座った。



 その後、今日の残り時間も少なくなってきたことに危機感を覚えた女子達は、その情熱をヒートアップさせていった。
 なのであえて逃げ回らなくても良くなったが、それでも帰りは早々に校舎から出ようと決めた。
 カバンを持って、日直の最後の仕事である日誌を職員室に置きに行くと、その帰り道で満面の笑顔の女の子達に声をかけられた。
 昨日、放課後に声をかけてきたクラスの女子だ。
「沢田くん、今日はありがとね」
「おかげでちゃんと渡せたわ」
「今日はホント無理なお願いして、ゴメンね」
「うっううん。オレは何にもしてないし。それより渡せて良かったね」
「うん! あっ、それでお礼のチョコなんだけど」
 そう言って二人の女子が、綺麗にラッピングされた箱と紙袋を差し出した。
 包装紙には見覚えがあった。商店街で、美味しいと評判の洋菓子店とケーキ屋のものだ。
「はい、コレ」
「山本くんと獄寺くんのファンの女の子達、代表として感謝の気持ちです」
「あっありがとう」
「ちゃんと美味しいのを選んだから、味わってね」
「今日は本当にありがとう。来年もよろしくね」
「うん。…って、え? 来年?」
 ふと疑問に思って顔を上げた時には、女子達は笑顔で去って行った後だった。
「あっ…来年のバレンタインも…」
 鬼ゴッコになるのか、と思い至り、がくっと肩を落とした。
 とりあえず箱のチョコはカバンに入れ、袋は手に持って校舎を出た。
 校門へ向かう途中、ふと周りが騒いでいることに気付いた。
「おい、あの子…」
「可愛いよな。誰かにチョコあげんのかな」
 校門には他校の女子生徒達や女性達の姿が見える。
 その中に見知った顔を見つけ、思わず駆け出した。
「くっクローム?」
「ボス」
 クローム髑髏。彼女が校門に寄り掛かっていた。
「どうした? 骸に何か…。あっ、それとも二人とはぐれたとか」
「違うの。何でもないの」
 可愛らしい仕草で首を振り、目の前に紙袋を差し出してきた。
「今日はバレンタインだから。ボスにもチョコあげようと思って」
「えっ、オレ?」
「うん。本当は骸さまにもあげたかったんだけど…」

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【2012/01/24 01:11】 | 家庭教師ヒットマン リボーン!・「バレンタインは大騒動!?」
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