家庭教師ヒットマン リボーン!・「バレンタインは大騒動!?」

2012.01.20(23:10)

 二月十四日。
 その日、沢田綱吉はいつもより早く起きなければなかった。
 何故なら、その日は特別な日だったから…。

ジリリリッ

「んっ…」
 目覚まし時計の音で目を覚ました。
 布団の中で丸くなりながら、手を伸ばして止める。
「ん?」
 けれど時間を見て、首を傾げた。
 いつもの起きる時間より、三十分ほど早い。
「アレ? セット間違えたかな…」
 寝惚けた頭でそう結論付け、再び眠りにつこうとした。
 しかしその目がカレンダーを映した時、一気に目が覚めた。
 二月十四日。つまり今日の日付に赤丸がしてある。それはつい昨夜付けたばかり。そしてその意味を思い出すと、眠気が吹っ飛んだ。
「あっ…ああっ!」
 慌てて飛び起き、暖房をつけることなく制服に着替えた。
 カバンを手に持ち、一階に駆け下りる。
「おはよう! 母さん!」
「あっあら、おはよう。今日は早いのね。まだ朝食の準備が…」
「パンだけでいい! 焼いといて!」
 イスにカバンを置き、今度は洗面所に行き、顔を洗って歯を磨く。
 髪も適当に梳かし、急いでリビングに戻った。
「焼けた?」
「ええ。でもそんなに急いで、どうしたの?」
「にっ日直なんだ。急いで行かないといけないから」
 口ごもりながらパンにバターを塗った。
「じゃあ行ってきます!」
 パンを口に銜え、カバンを持ってリビングから出ると…。
「何そんなに急いでるんだ?」
「ぶほっ!」
 パンがのどにつまった。
 今一番、会ってはならない相手に会ってしまったからだ。
「げほっ、ごほっ」
 リビングに戻り、テーブルに置いてあった牛乳を一気に飲んだ。
「リッリボーン…」
「朝から慌ただしいヤツだな。今日、何かあるのか? つーか早く登校してもチョコは貰えねーぞ?」
「うるさいなっ! そんなこと分かりきっているよっ!」
 コップを置くと、再び急いでリビングを出た。
「にっ日直なんだよ。早く行かないと、ダメだろう?」
「先週も日直だったじゃねーか」
「かっ代わったんだよ。今日、やるはずだった女子が、用事があるから代わってくれって言われて。その代わり、次の日直はその子にやってもらうことになったから」
 ちなみに決まったのは昨日の放課後だが、そこまで詳しく話してしまえば、今日の自分の行動を言わなければならない。
 そうなると、ちょっとどころかとんでもなく厄介になることは明白なので、とっとと話を切り上げることにした。
「今日はバレンタインだし、そういうこともあるんだ。じゃ、オレは行くから」
「迎えに来る獄寺と山本はどうするんだ?」
「ぐっ! …お前から言っておいてくれ」
「と言うことは二人に言ってないんだな?」
「いっいきなりだったから仕方ないだろ? それに女の子達もオレが側にいない方が渡しやすいだろうし…」
「まあ確かにダメツナなんて、邪魔ツナでしかないしな」
「自覚はあるよ! だから先に行ってくる!」
 これ以上会話を続けては、ボロが出る。
 そう思い、慌てて家を出た。
 歩きながらパンを食べ、昨日の放課後のことを思い出す。



 クラスの女子に、思いつめた表情で話があるからと言われ、屋上に呼び出された。
 そこには、屋上を埋め尽くすほどの大勢の女子生徒がいた。
「ええっ!」
 呼び出される覚えも無いので、思わず後退りすると、女の子達は一斉に頭を下げてきた。
「沢田くん! お願い、明日は獄寺くんと山本くんから離れて!」
「………はい?」
 言われたことが理解できず、首を傾げた。
 すると女の子達は顔を上げ、必死な表情で詰め寄ってきた。
「明日、バレンタインでしょう?」
「どうしても彼にチョコあげたいの!」
「でもいつも沢田くんと一緒でしょ?」
「ちょっと渡しづらくて…」
「だからっ! 明日一日だけで良いの! 二人から離れてて!」
 …つまり、明日チョコを渡すのに自分が邪魔なので、一緒にいないでほしい―と言うことか。
「あ~、…うん。分かったよ」
 女の子達の気持ちも分からないでもない。
 三人で一緒にいることが自然体になっているので、そういう状態では女の子達はチョコを渡しにくいだろう。
 …それにそういう場面にいることは、正直こっちも辛い。
 そんな心境をよそに、女の子達の表情が明るく輝いた。
「あっありがとう! 沢田くん」
「お礼に友チョコあげるね!」
「人気のチョコ、買ってあるから」
「あっありがとう」
 親しい友人にあげる友チョコ。あっさり言われると、返ってすがすがしい。
 それに一応、男として面目がたつ。

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