BL・<Fascinated by the darkness>・27

2011.12.27(01:19)

「………」
「………………」
 何故、この人とはバッドタイミングがピッタリ合うのだろう? 
 突如部屋の扉が開き、デスが姿を見せたのだ。
 なのでさっきの僕の独り言は、とっくに耳に入っているわけで……いっ言い訳、した方がいいんだろうか?
「えっと…どうしました? デス」
 しかしそれよりも逃げに走る僕って、本当にヘタレだな。
 しかも引きつった笑みを浮かべているし……でも人間、恐怖が過ぎると笑い出してしまうというヤツかもしれない。
「来い、マジシャン」
 デスはそう言って、部屋の中を顎で差す。
 …仕事よりもこっちの休みが欲しいと、今切実に思った。
 けれど逆らえないので、大人しく誘われるままに部屋に入る。
 そして寝室へ―っていつものパターンか。
「テンパランスにはもう連絡したのか?」
「今日は用事があるみたいなので、明日する予定です」
 何だ、こっちの話だったか。
 と言うか、見抜かれているのが恐ろしい。
 ハーミットとの会話を盗み聞きしていたわけでもないだろうに…。
「そっちこそ、エンペラーへの報告は終わったんですか?」
「ああ。何も問題はなかったからな」 
 警備員や鷹近を殺したことなど、デスにとっては何でもないこと。
 まっ、僕やラバーも同じことを思っているわけだけど。
「それで? もう僕に用事はないんでしょう? 戻っても良いですよね?」
 思わずつっかかった言い方をしてしまう。
 あの取り引きがまだ、モヤモヤと心に残っているからだ。
「ダメだ」
 そう言って腕を掴むと、僕をベッドに押し倒した。
「勘弁してくださいよ。疲れているんです」
 覆い被さってくるデスの胸を押し、顔を背けた。
 けれどデスは僕の頬に手を当て、優しく撫でてくる。
「っ!」
 手袋を外した素手で触られると、ぞくっと背筋に甘い痺れが走る。
 それと同時に胸まで熱く高鳴ってくるんだから……ヤダな。
 僕の心と体は相変わらず反する動きをしてしまう。
「拒むとは珍しい。先程の取り引き、まさか本気にしたのか?」
 そりゃまあ冗談だとは分かっていましたよ? 
 鷹近はいくら頭の回転が速そうでも、デスの好みじゃない。
 僕が鷹近を殺さなくても、さっきみたいにラバーかデスが始末しただろう。
 結果は変わらない。
 なのにあんな取り引きを持ち出したデスに、僕は多少怒りを感じていた。
 けれど悟られるのはイヤだったので、誤魔化しの笑みを浮かべる。
「いえ? 本当に疲れているだけです」
「昨夜は休ませてやっただろう?」
「そんなに相手がほしいのなら、ラバーにしてください。彼も欲しているみたいですから」
 言いながら顔が歪んでしまう。
 本当は言いたくないことだから。
「本当に、アイツの元へ行っていいのか?」
「そっれは…!」
 ―イヤだ。
 本当はこのまま彼と…!
 ぐっと唇を噛むと、顎を掴まれ、真正面から彼と顔を突き合わされた。
 闇のように暗い二つの眼に射抜かれ、視線が逸らせない。
「どうする? お前が望むなら、俺はアイツの所へ行くが?」
 表情一つ動かさず、言うことじゃない。
 本気だと、イヤになるくらい分かってしまうから。
 不安からか、胸の鼓動が早くなる。
 彼は本当に心臓に悪い人だ。
 それに頭に血が上っているせいで顔も熱くなるし、涙もうっすら滲んでしまった。
 情けない顔をしている僕を、それでも彼は真っ直ぐに見つめ続ける。
「選べ、ユウマ。お前はどうしたい?」
「…こんな時ばかり、僕の意見を求めるんですね」
 ズルい人だ。
 鷹近のことと言い、僕を試すようなことばかり。
 選択を与えているようで、結果が変わらないことは分かっているクセに…。
 結局僕はどんな選択を与えられても、彼のことを選ぶ。
 迷うことがあっても、僕は彼の傍から離れられない。
 彼から離れたら生きていけない。
 イザヤの傍にいるからこそ、自分という存在が自覚できるからだ。
 イザヤの傍にいられるのならば、必要とされるのならば、何だってできる。
 きっとイザヤはそんな僕の心なんて、お見通しなんだろう。
 だけど時には確認したくて選択を与えてくる。
 でもコレが彼の愛情表現ならば、僕は魂が震えるほど嬉しい。
 僕は軽く息を吐くと、彼の首に手を回し、キスをした。
 ―気持ちを込めての返答だった。



 …いつだったか、ラバーがデスと鷹近は下ネタで正反対だと言っていたのを思い出す。
 実際そうだと僕も思う。
 散々貪られた後、そのまま放置されていると特に。
 いつもデスは事が済むと、とっとと服を着て部屋を出て行ってしまう。
 今も裸で二人分の体液まみれの僕をベッドの上に置いたまま、服を着ている。
 僕はもう指一本動かす力も残っていなかった。
 体の中も外もベトベトでお風呂に入りたいけれど、文字通り腰が砕けて動けない。
 デスは潜入していた時は一応気をつけていたみたいで、セックスの痕は体に残さないようにしていた。

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