BL・<Fascinated by the darkness>・19

2011.12.19(10:22)

 僕が良くないっ! 
 レンとはふざけながらキスまでは許していた。
 けれど流石に最後の一戦は越えたくない。
 僕にとってレンは弟みたいな存在。
 可愛がり過ぎた自覚はあったけど、それはあくまで親愛だ。
「ユウマ……好き」
 熱っぽい眼差しを向けないでほしい! 
 僕の理性まで吹っ飛びそうになる。
 けれど色事に慣れたレンは、男の扱いを良く知っていた。
 キスをしながら服の中に手を入れて、背中や胸を撫でてくる。
 温かく華奢な手で触れられると、息が上がってしまう。
「ユウマはオレのこと、キライ?」
「いや、好きだし大事だけど…。僕はイザヤの物だし……」
 眼を逸らしながら、ボソボソと言うのは男らしくないとは思う。
 けれどレンを直視していたら、陥落するのは時間の問題だ。
「今はケイトいないし、いいじゃん。二人だけの秘密にしようよ」
 欲情に満ちた眼でイタズラっぽく微笑む姿は、本当に小悪魔だな。
 背中に羽が、お尻には尻尾が生えているように見える。
「でも…」
「シィ~」
 レンは僕の唇に人差し指を当て、ニッコリ微笑む。
 そして改めてキスから始めた。
 軽く触れ合うだけのものから、深く重なり合い、舌を絡ませ合うほど濃厚なものへと変わっていく。
「んむっ…レ、ン」
 部屋の中に淫靡な水音が響く。
 ダメだと思っているのに、頭の芯が痺れてきた。
 やっぱりラバーの名は伊達じゃない。
 実力も伴っているから恐ろしい。
「ユウマ……好きっ。大好き…!」
 レンの頬が紅潮し、色気が増していく。
 …完全にマズイ。
 レンのペースに引き込まれている。
 きつく拒絶しなければいけないのに、彼の悲しむ顔が見たくないという兄心が、それを邪魔してしまう。
 しかもだんだんその気になってしまう自分が悲しい…。
 レンは可愛い。
 本当に心からそう思うからこそ、はね除けられない。
 お互いズボン越しに欲望に熱を持ち始めているのが、触れている部分から分かる。
 …まあ、イザヤにバレなければ良いかな?
 レンとキスするのは気持ち良いし、レンがどんなふうに抱かれてくれるのか、男として興味はある。
「レン…」
 僕はレンの上着に手をかけ、肌に触れようとした。
「―何をしている?」
「うわっ!」
「わっ!」

 ベシッ

「………」
「…ごっゴメン。レン…」
「………………」
 え~、今の状況を説明します。
 突然イザヤに声をかけられ、驚いた僕は思わず膝に乗っていたレンを、床に投げ付けてしまいました。
 ―終了。
 …レンは床に突っ伏したまま、微動だにしなかった。
 イザヤも人形のように表情を固めている。
「あっははは…」
 僕は壊れた笑いを浮かべるしかなかった。



「…報告は以上です。多分、近日中には設計図を手に入れられると思います」
 イザヤに移動するよう言われて、僕は彼の部屋で報告をした。
 だがイザヤは無表情のまま、じっと僕を見ているだけ。
 …生き地獄だ。
 心臓が嫌な音を立てている。
 これが心の悲鳴というヤツだろうか?
 あの後、レンは俯いたまま立ち上がり、何も言わずにリビングから出て行ってしまった。
 その背中からは不機嫌オーラが立ち上っていた。
 …明日、顔を合わせるのが怖いな。
「でっでは僕はこれで」
 重い空気に耐え切れず、僕は踵を返した。
「テンパランスに報告するつもりか?」
「デスから報告してくれるなら、僕はしませんが」
 昨夜のことを言われているのは分かっていたので、意味ありげに微笑む。
「…なら報告しなくてもいい」
「了解です。…このまま部屋に戻ってもいいですよね?」
 流石に今日は一人でゆっくり眠りたい。
 しかしイザヤは真っ直ぐに僕を見つめてくる。
「ラバーの所に行くつもりか?」
「行きませんよ。もうそんな気は綺麗さっぱり失せました」
 今はもう寝たいだけ。
 肉体的にも精神的にも疲れがピークになっている。
 正直に真顔で言うと、イザヤは溜息をつきながらメガネの位置を直した。
 …微妙に不機嫌な仕草だ。
「言っておきますが、ラバーと一線を越えたことはありませんからね」
「ではさっきのは?」
「そっそれはちょっと雰囲気につられたと言いますか…。ラバーもストレスが溜まっているみたいですからね。それが性欲となって、発散したかったんでしょう」
「アイツは本当に好き者だな」
 いや、そういうふうに教育したのはアナタでしょーが。
 …しかし反論するとますます怒らせるだけなので、僕は精一杯微笑んだ。
「でもまあもうちょっとで仕事も終わりそうですし、後少しの辛抱ですから!」
「どこを見ながら力説している?」

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