BL・<Fascinated by the darkness>・15

2011.12.15(00:14)

 たまにでも呼ばれること自体、珍しいというかスゴイというか…上手く説明はできないけれど。
 イザヤは警戒心が強い人だ。
 だからベッドの中の相手はかなり吟味している。
 僕やレンは一応、彼のその許容範囲に入れたということで相手に選ばれたのだ。
「レンも一緒にいれば呼ばれることが多くなると思うよ。可愛いし、キレイだし」
 白く滑らかな頬を撫でると、手にすり寄られた。
 猫みたいな仕草に、表情が緩む。
「じゃあ付き合ってはいないんだ」
「ビジネスパートナーだよ、僕達は」
 その事実が嬉しいというか悲しいというか…何とも複雑な気分だ。
「そっか、良かった」
 レンはほっとしたように笑みを浮かべた。
 えっと、この表情と言葉はどう受け取ったら良いのかな? 
 もしかしなくてもレンもイザヤのことが………いや、考えたくない。
「ねぇ、ユウマ。今回の仕事が終わったら、休みが取れるんだろう?」
「そうみたいだね。まあそれでも次の仕事が決まるまでだろうけど」
 年中行事や休日・祝日関係なく働かされるのが、ちょっと悲しくもある。
 幹部は特に働き尽くめなので、休みは貴重だ。
「ならさっ、オレと遊びに行こうよ!」
 そう言って楽しそうに僕の腕に絡んできた。
「レンと?」
「うん! 別に旅行に行こうとまでは言わないからさ。近場で良いよ。いろんな所に遊びに行こう」
 旅行に出掛けても、仕事が入れば途中で戻ることになるので滅多にできない。
 だが近場で遊ぶくらいは良いだろう。
「そうだね。じゃあ二人で遊ぼうか」
「ホント? 嬉しい! 楽しみにしている」
 レンは輝く笑顔で喜んでくれる。
 本当に可愛い。
 掛け値なしに愛しい。
 レンみたいなコを好きになれば、きっと僕も幸せだろうな。
 なのに僕って本当に恋愛運、皆無だよね。
「おい、いつまでしゃべってる」
 …本気で実感します。
 アナタの顔を見ると、特に。
 可愛いレンと一緒にいるよりも、無表情のイザヤと一緒にいる方が胸が高鳴るんだから、ホントしょーもない僕だ。
「もう時間ですか?」
 壁にかけている時計を見ると、確かに大分時間は経過してた。
 僕は慌てて手首に包帯を巻き、カバンを持った。
「それじゃあレン、大人しく家にいるんだよ?」
「分かった。早く帰ってきて、ユウマ」
 レンは機嫌が良くなったのか、ニコニコして手を振ってくれた。
 玄関を出て扉を閉めようとしたら、途中で止められる。
「? あれ、イザヤ。イザヤも出掛けるんですか?」
「ああ、送って行くから車に乗れ」
「はあ…」
 珍しいこともあるもんだ。
 ハーミットは夜型人間だから、朝から起きていることは滅多にないが……いや、徹夜ということも考えられるな。
 僕は助手席に乗り込みながら、疑問を口に出した。
「今からハーミットと打ち合わせですか?」
「ヤツとは夜からだ。今からチャリオットとの打ち合わせだ」
 わーお。
 身の危険が現実味を帯びてきたぞ?
 チャリオットは『戦車』、そして仕事内容はターゲットへの直接攻撃。
 作戦担当のハーミットと攻撃担当のチャリオットと打ち合わせをするぐらい大詰めなのか。
 あんまりモタモタしていると、チャリオットの攻撃対象がターゲットから僕とレンに変更になってしまう。
 僕は血の気の引いた顔で、それでも笑みを浮かべた。
「じょっ情報は掴んだら、すぐにお知らせします。でも今夜帰りが遅いのでは?」
「ああ。起きていろ」
「三日続けて寝不足は、激しく堪えるんですけど…」
 今だって体には気怠さが残っているというのに。
「そんなに遅くなるつもりはない。報告書を作っておけ」
「はいはい」
 昼間の彼は、いつものように淡々としている。
 夜の激しさは一切見せない。
 甘くない関係だ。
 なのにレンはどうして僕達を恋人だなんて言い出したんだか…。
 家からほど近い学校には、すぐに到着する。
 車は校門付近で止まった。
「じゃあ行ってきます」
「ああ」
「おっ、遊真。おはようさん」
 ちょうどその時、鷹近がやって来た。
「おはよう、鷹近」
「おはよう。鷹近くん」
 カーウィンドウを開けて、イザヤが鷹近に笑みを見せる。
 叔父役に入ったみたいだ。
「おっおはようございます!」
 イザヤを見て、鷹近は直立不動になった。
 レンと付き合っていることが、負い目になっているんだろうな。
 …まあ無駄な負い目だが。
「それじゃあ遊真、勉強頑張りなさい」
「はいはい。叔父さんも仕事、頑張ってくださいよ」
「ああ」
 叔父ことイザヤはにこっと笑い、行ってしまった。
「…っぷはー。あ~、緊張した」
 イザヤがいた間、鷹近はガッチガチに固まっていた。
 こういうところも素直で良いと思うな。
 …レンの本当の姿を知らないと思うと特に。
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