フリーのシナリオライターとして活動しています
「んっんんっ…」
「…ふっ」
 互いの唇からもれる甘い吐息と声。
 唇が離れても、お互いに熱い思いを目に宿したまま、強く抱き合う。
 今は幼馴染の彼の部屋で2人っきり。
 こんな幸せな時間を味わえるなんて、わたしは幸せ者だ。
 …けど、ふと気付いてしまった。
 子供の頃のようにキスをするようになった。
 そして2人っきりで会ったり、とっ泊まったりするようになったけど…わたし、コイツに告白されてない?
 そもそもコイツがいきなりキスをしてきて、これからもキスしたいって言い出した。
 それって恋人になりたいって意味だと思ったんだけど…。
 何か順序、逆じゃない?
 というか、本当に恋人になったのか、今になって不安になってきた。
「ねっねぇ」
「ん? 何だ?」
 答えながらも、わたしの手や顔中にキスの雨を降らせてくる。
「アンタ、わたしのこと、好きなの?」
 真っ直ぐに目を見て言った。
 するとキョトンとするアイツ。
 しかし次第にあきれた表情に変わる。
「…何を今更。俺が何とも思わず、お前にこういうことをすると思ってたのか?」
「………実はちょっと」
 えへっ★と笑って言うと、ぎゅう~と両方のほっぺたを引っ張られた。
「うへっ!? ひっひたいっ!」
「お前って本当にバカだよな」
「らっらによぉ!」
「でもそんなお前が好きな俺が、きっと1番バカなんだろうな」
 険しい顔でそう言って、いきなり手を放した。
「うえ~。顔が変形するぅ」
 頬を両手でスリスリする。
 思いのほか、熱くなっていた。
 …相変わらず情け容赦無いヤツ。
 でも、嬉しい一言が聞けた。
 だからアイツをじっと見つめる。
「何?」
「…んっ。ちょっと安心。アンタの口から、『好き』って言葉が聞けたから」
「まったく…」
 ため息をつくと、今度は優しい笑顔になる。
 
どきんっ…!

 ときめいているうちに、アイツの腕の中に引っ張られた。
「あっ…」
「―好きだ。ずっと前から。昔していた結婚式ゴッコは、俺にとっては本気そのものだったんだぞ?」
「…よく覚えてたわね」
「お前は忘れてたのか?」
「忘れられるワケないでしょ? わたし、アンタとしかしなかったんだから」
「俺だって」
 お互い、笑い合う。
 あの頃はただ、結婚式ゴッコという遊びが好きだった。
 今は、憧れ。
 いつか真っ白のウエディングドレスを着て、キレイな教会で結婚式をあげる。
 タキシードをビシッ!と着こなした、彼とね♪
「ねぇ、結婚式はやっぱり教会が良いな」
「お前、ウエディングドレスに憧れてたもんな」
「うん! やっぱり女の子の夢でしょ?」
 そう言って、ぎゅっと抱きついた。
「アンタもちゃんとタキシード、着てよね?」
「教会なら、当然。あっ、でも…」
 ふと何かに引っ掛かったのか、アイツの表情が曇る。
「どうかした? やっぱり和式が良いとか?」
 白無垢でもまあ…。
 コイツが着物が良いと言うなら、そのくらいは良いケド…。
 しばらくうなった後、わたしの目を真っ直ぐに見てきた。
「お前、ちょっとウソになるな」
「何がよ?」
「例の歩く道、ウソになるだろ?」
 歩く道? 教会で…歩く道と言えば……。
 思い当たったわたしは、左の拳を握り締めた。
「責任取れ! この大ばかっ!」

バキッ!


<終わり>

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【2011/11/27 22:43】 | <Kiss>シリーズ
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