ガキとのキス

2011.11.09(09:02)

 ―選択を間違えた。
 アタシはしみじみそう思う。
 アタシは現在高校1年生。
 けれど彼氏は…小学6年生。
 …ぜってー間違えた。
 けれど先に好きになったのはアタシの方。
 家が隣同士で、コイツが母親のお腹の中にいる時からの付き合い。
 いつの間にか…好きになってて、告白したのはつい昨年のバレンタインデー。
 うっかり手作りチョコと共に告白して、OK貰った時は嬉しくて、その夜眠れなかったのに…。
 今では冷めてきたを通り越して、虚しくなってきた。
 予想以上に、コイツがガキだって分かったから…。
「えいっ! やあっ! このっ!」
 …今もせっかく二人きりで、アタシの部屋にいるのに、アイツはTVゲームに夢中。
 アタシはベッドに座り、そんなアイツの姿を見ている。
 付き合ってから、ほとんどこう。
 二人きりでもゲームやマンガ、テレビに夢中。
 ムードなんて、無いどころかマイナス…。
 明るくて、スポーツ万能のアタシの彼氏は、結構モてる。
 自覚無く女の子と仲良くするから、アタシはいつもヤキモチ焼きっぱなし。
 …まあ精神的に大人になるのは、女の子が先だって言うけどさ。
 デートよりも、男友達と遊んだりする方が楽しい年頃だってのも分かる。
 ……ちょっと早まったかな?
 コイツがもう少し大人になるまで、ガマンすれば良かったのかな?
 でも最近の女の子達は、成長が早いから…もたもたしてたら、とられちゃうって思って…。
 そう考えたらいてもたってもいられなかった。
 だから告白したのに…。
「はあ…」
 高校に入って、みんな大人っぽくてビックリした。
 友人に彼氏のことを聞かれても、誤魔化してばかり。
 …本当はちゃんと紹介したいんだけど、コレじゃあなあ。
「ん? どーした?」
「何でも無いっ」
 ぷいっと向こうを向く。
「疲れてんのか?」
 ゲームする手を止めて、アタシの所に来てくれる。
 屈んで、アタシと目を合わせた。
「何か…老けた?」

 ドカッ!

「ふごっ!」
 強烈な右の拳を、アイツの腹に沈めた。
「…今度言ったらマジ殺す」
「おっおう」
 そのままアタシの上に倒れ込んで来たので、受け止めた。
 ぎゅっと抱き締めると…やっぱり愛おしさが溢れる。
「ねぇ…」
「なっ何だ?」
「アタシ、アンタのこと好きよ」
「おっおお」
 …ダメだ、こりゃ。
 やっぱりガキね。
 でも好き。ガキのコイツが大好き。
「ちょっちょっと、苦しいって」
「あっ、ゴメン」
 ちょっと夢中になり過ぎたみたい。
 離してやると、ぜ~ぜ~息切れをしていた。
「ったく。ちょっとは手加減しろよ。体格差とかあるんだからよ」
「…分かってるわよ」
 アタシはコイツより頭一つ分、大きい。…何気にへこむ。
「…なあ」
「何よ」
 顔を上げると、いきなり肩を捕まれ、ベッドに倒された。
「きゃっ! なっ何すんのよ!」
 目を開けると、真剣な表情のアイツがいた。
 それでも何か言おうと口を開くと…。
「んぐっ…!」
 噛み付かれるように、キスされた。
 唇が合うどころか、歯や舌まで…。
「んん~!」
 あまりの荒っぽさに、バタバタと暴れてしまう。
「ちょっ、やめっ…!」
 顔を横に向けて逃げた。
 そして脇腹に蹴りを入れた。
「んがっ!」
「いきなり何すんのよ!」
 アイツの体を壁にぶつけて、アタシは起き上がった。
「だっだってお前…、何か物欲しそうな顔してたから…」
 脇腹を押さえ、ベッドの上で悶絶しているアイツの姿を見て、アタシはあんぐり口を開けた。
 …もしかして、さっきので?
「~~~っ! だからって、いきなり押し倒してキスはないでしょ!?」
「んなこと言ったって、高校生ってすぐにこーゆーことするんだろ?」
 ……どっから仕入れた情報だ?
「それにさ…」
 アイツはふと真面目な顔になって、ベッドに座り直した。
「…お前、可愛いから、奪われちゃイヤだからさ」
「はい?」
 なっ何か今、いつものコイツからは考えられない言葉が出た。
「だからっ! 他の男になんか目移りするなよ!」
 真っ赤な顔で、指をさしてきた。
「だっ誰がよ! アタシが好きなのはアンタだけよ!」
「オレだって、お前が好きなんだよ!」
「うっ…」
 まっ真正面から言われると、心臓に来る…。
「そっそれに恋人なら、キスしたっておかしくないだろ?」
「そっそれはそうだけど…」
 何か違う…。
 でも、好きだって言われたのは嬉しい。
 本当に嬉しいっ…!
 だからアイツに抱きついた。
「おっおい」
「…アタシが好きなのは、アンタだけよ」
 アタシよりも小さな体。
 でもいつかは追い抜かれる。
 それまで…待っていよう。
 コイツが好きなのは、アタシだけなんだから。
「おっおう」
 ぎゅっと抱き締め返されて、胸がいっぱいになる。
 ………と、思っていたら。
 また肩を捕まれて、ベッドの上に…。
「って、何で押し倒すのよ? キスなら起きてでも…」
「いっいや、ホラ。続きは…ベッドの上だろ?」
 続き…って、まさかっ!?
「3年は早いわっ! バカガキッ!」
 そしてまた、アタシの拳はふるわれた。


<終わり>

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