フリーのシナリオライターとして活動しています
「あの…好きです」
「うん?」
 オレの笑顔は張り付いた。
「好き…なんです」
「…うん」
 相手に合わせて、オレの声もしぼんだ。
 …ていうか、この状況は何だ?
 オレに告白してきたのは、同じバスケ部の1年生。
 そしてオレは2年生、コイツの先輩だ。
 しかし…ウチの学校は『男子校』。
 告白されても…正直困る。
 こういうのが今まで無かったワケじゃないから、余計に、か?
 コイツはウチの学校で、1・2を争うほどの美形で有名。
 オレもはじめてコイツを見た時は、キレイな男だって思った。
 それにオレより長身で、頭も良いと評判。
 だから部活勧誘の為に、体育館でバスケ部員同士で試合をしていた時に、見学に来ていたコイツに声をかけた。
 入学式の時から気になっていたんだって…。
 …もしかして誤解された?
 その後、何となしにコイツに懐かれている自覚はあった。
 オレも副部長としての立場があるから、新人指導のつもりで良く接してたけど…。
 コレは……どうしよう?
 普通のヤツなら、すぐに断りを入れる。
 しかしコイツの場合、ちょっと躊躇う。
 いつもほとんど無口で無表情、真面目でふざけたことを一切しない。
 だけどオレにだけは違った。
 オレと二人の時だけは、笑顔を見せてくれた。
 いろいろな表情が見れて、オレはそれを嬉しく思ってしまっていた。
 ………つまり、あんまりハッキリとは認めたくは無いが。
 好き、なんだろうな。コイツのこと。
「あっあの…」
「んっ、ああ…」
 返事、しなくちゃな。
 オレの方が先輩なんだし。
 今にも泣き出しそうな顔をされると…正直、嬉しく感じてしまう。
 他のヤツらが絶対に知らないコイツの表情、一人占めしたい。
 だけど先に告白されたのが、ちょっとシャクだ。
 だからオレは―アイツの首に手を回して、引き寄せてキスをした。
「っ!」
「―好きだぜ、オレも」
 唇に息をかけながら、言った。
「えっ…」
「んなマヌケ面、他のヤツには見せんなよ」
 そう言ってまたキスをする。
「んっ…!」
 オレの体に手が回される。
 二人の距離が、無くなる感覚が心地良い。
「好きっ…です。好きです…!」
「ああ、分かってるって」
 クスクス笑いながら、胸の中に顔を埋めた。
「本気で、本当に好きなんです」
 切ない言葉が、耳元で囁かれる。
 それだけでオレの胸はいっぱいになる。
「ああ…。ずっと言ってろよ。オレの側で」
 オレはアイツの体を力を込めて抱き締め返した。
「ずっと聞いててやるからさ。お前の側で」



<終わり>
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【2011/09/23 01:09】 | <Boys Kiss>シリーズ
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