後輩とのキス

2011.09.23(01:09)

「あの…好きです」
「うん?」
 オレの笑顔は張り付いた。
「好き…なんです」
「…うん」
 相手に合わせて、オレの声もしぼんだ。
 …ていうか、この状況は何だ?
 オレに告白してきたのは、同じバスケ部の1年生。
 そしてオレは2年生、コイツの先輩だ。
 しかし…ウチの学校は『男子校』。
 告白されても…正直困る。
 こういうのが今まで無かったワケじゃないから、余計に、か?
 コイツはウチの学校で、1・2を争うほどの美形で有名。
 オレもはじめてコイツを見た時は、キレイな男だって思った。
 それにオレより長身で、頭も良いと評判。
 だから部活勧誘の為に、体育館でバスケ部員同士で試合をしていた時に、見学に来ていたコイツに声をかけた。
 入学式の時から気になっていたんだって…。
 …もしかして誤解された?
 その後、何となしにコイツに懐かれている自覚はあった。
 オレも副部長としての立場があるから、新人指導のつもりで良く接してたけど…。
 コレは……どうしよう?
 普通のヤツなら、すぐに断りを入れる。
 しかしコイツの場合、ちょっと躊躇う。
 いつもほとんど無口で無表情、真面目でふざけたことを一切しない。
 だけどオレにだけは違った。
 オレと二人の時だけは、笑顔を見せてくれた。
 いろいろな表情が見れて、オレはそれを嬉しく思ってしまっていた。
 ………つまり、あんまりハッキリとは認めたくは無いが。
 好き、なんだろうな。コイツのこと。
「あっあの…」
「んっ、ああ…」
 返事、しなくちゃな。
 オレの方が先輩なんだし。
 今にも泣き出しそうな顔をされると…正直、嬉しく感じてしまう。
 他のヤツらが絶対に知らないコイツの表情、一人占めしたい。
 だけど先に告白されたのが、ちょっとシャクだ。
 だからオレは―アイツの首に手を回して、引き寄せてキスをした。
「っ!」
「―好きだぜ、オレも」
 唇に息をかけながら、言った。
「えっ…」
「んなマヌケ面、他のヤツには見せんなよ」
 そう言ってまたキスをする。
「んっ…!」
 オレの体に手が回される。
 二人の距離が、無くなる感覚が心地良い。
「好きっ…です。好きです…!」
「ああ、分かってるって」
 クスクス笑いながら、胸の中に顔を埋めた。
「本気で、本当に好きなんです」
 切ない言葉が、耳元で囁かれる。
 それだけでオレの胸はいっぱいになる。
「ああ…。ずっと言ってろよ。オレの側で」
 オレはアイツの体を力を込めて抱き締め返した。
「ずっと聞いててやるからさ。お前の側で」



<終わり>
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