フリーのシナリオライターとして活動しています
「櫂都さん、櫂都…!」
「空耶くん…!」
 彼は一旦動きを止めたが、すぐに奥まで激しく突いてきた。
 先端を残しては、一気に貫かれる行為を何度も繰り返す。
 何度も腰が浮き、その衝撃に眼が眩む。
 そして彼の手の中で、俺の熱が爆ぜた。
「うぁあっ!」
 再び腹の上に飛び散る白い液体。
 俺は二度目の射精に、堪らず腹に力を入れてしまった。
「うくっ…」
 彼の顔が一瞬苦痛で歪んだ。
 すると彼の熱が一番奥で、爆ぜた。
「あっ熱いっ…!」
 中に注ぎ込まれた熱はとても熱くて、腹の中が焼けるかと思うぐらいだった。
 彼は出している間にも腰を動かし、俺の中に注ぎ込んでいく。
「あっ、はぁはっ…ふぅ…」
 全てを出し終えた後、彼はゆっくり眼を開いた。
「だっ大丈夫ですか?」
「それ、僕のセリフだよ」
 彼は薄く笑うと、キスをしてきた。
「んっ…」
「無理させちゃって、ゴメンね? あんまり空耶くんが可愛いものだから、我慢できなくなった」
「櫂都さん、あんまりその…『可愛い』って言われたくないんですけど」
 そもそも男が男に言う言葉ではないと思うし。
「ん~。でもキミには偽らないって誓ったしね」
 …つまり本心から言っているのか。
 本当に厄介な人だ。
「ねぇ、八雲から聞いたんだけど、引っ越すんだって?」
「正確には決まっていませんよ。ただ引っ越したいと思っているだけです」
「なら僕のマンションにおいでよ」
「はっ?」
「僕のマンション、キミ達の職場からそう遠くないし、ここより近いよ。それに部屋も余っているし、ちょうど良いだろう?」
「えっと…」
 話が急展開過ぎて、ちょっとついていけないところが…。
「それにさ」
「なっ何です?」
 イタズラっぽく微笑む彼は、どこか不気味だ。
「好きな人の側には、ずっといたいでしょう?」
「うっ…!」
 そっそれを言われると、何も言えなくなってしまう。
「よし、じゃあ決まり。来週の土曜にでも、引っ越しておいでよ」
「きゅっ急過ぎますよ! 引っ越しの準備期間ぐらいください!」
「そのぐらい、有給取りなよ。今まで使っていない分、貯まっているって八雲が言ってたよ?」
 兄貴、殺す! 
 何でこうもベラベラしゃべっているかなぁ! 
「…って言うか、よく兄貴から俺のことを聞いているんですね」
「うん、やっぱり気にはなっていたからね」
 まあ兄貴からこの人のことを聞いていた俺も俺だから…とは納得できないな、うん。
「はあ…。分かりました。来週は有給を取って、あなたの家に引っ越します」
「本当に良いの?」
「ええ」
 俺はにっこり笑った。
 兄貴のヤツを、仕事に追い込みたいという下心があった。
 俺が会社を休む時、仕事は兄貴に回る。
 今は仕事が忙しい時期、苦労するといい。
 バカ兄貴。
「良かった。あっ、僕は職場変わるから、来週はちょっとバタバタするね」
「あっ、やっぱり辞めさせられたんですか?」
 病院の医院長の娘との婚約がダメになったのだ。
 どんな理由であれ、彼も居辛いだろう。
「いや、自分で辞めたんだ。今のところ、あんまり良くなかったしね。他の病院の知り合いに声をかけられたこともあって、移動することにしたんだ。今度の職場は、空耶くんの会社から近いんだよ」
 …相変わらず世渡り上手な人だ。
「早速明日にでもウチにおいでよ。下見も兼ねて、泊まりに来るといい」
「そう、ですね」
 そして自分のペースに巻き込む人。
 ―それでも良い。
 彼が心から幸せそうに笑うから、俺はそう思ってしまう。
 惚れた弱みというのは、結構苦労するかもしれない。



「ヤバイ、マズイ。マズイ、ヤバイ」
 呪文のようにブツブツ呟きながら、足早に歩く。
 腕時計を見ると、すでに約束の帰宅の時刻から三十分が経過している。
 仕事を終えて、定時で帰れると連絡した直後、取り引き先から急遽連絡が入った。
 しかも内容は急な仕事が入ったとのことで、慌てて人を派遣しなければならなくなり、今まで手間取ってしまった。
 それこそ彼に連絡する暇もないぐらいに…。
「怒ってる…絶対に怒ってる」
 都心に建つ高級高層マンションが、今の俺達の住居だった。
 マンションなのに二階と庭があったことに、俺は呆気に取られた。
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【2011/09/18 00:08】 | BL・<空に月が輝く時>
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