フリーのシナリオライターとして活動しています
 彼女はチャラ…と自分が身に付けているアクセサリーを見せてくれました。
 よく見てみると、彼女は丸い水晶のチョーカーに、水晶の石が付いた指輪、そして同じく水晶の数珠ブレスレットを付けていたのです。
「一応こうやって、抑えてはいるの。でも全てを抑えることはできない。何故ならこの身に流れている血が、媒体となっているから」
 少し悲しそうに、彼女は自分の腕をさすります。
「血…? 血脈からの因縁なの?」
「因縁、ね。でもそれは自分の先祖がこうあるように、と願ったことだしねぇ」
 ふぅ…と息を吐き、彼女は語ってくれました。
 自分の血の因果を―。
「昔、ウチの先祖は権力と金を持っていたの。それで好き放題に生きててね。そうなれば自然と人に恨まれる」
 当時は人を呪う職業があった時代。
 先祖は呪われるであろうことは、予想していたようです。
 そして頭の回転が良かった先祖は、力の強い呪術師を家に迎え入れたそうです。
「ただ迎え入れただけじゃない。―己の娘と結婚させて、血と呪術を入り交じらせた。その結果がこうなのよ」
 彼女は自傷気味に笑いました。
「私の中にいるモノは、私がこの世に生まれ落ちた時からいるの。だからムリに外そうとすれば、私もただじゃないだろうけど、外す方も無事では済まない」
 そこでスっと目を細め、わたしを見つめてきました。
「でも貴方はそれで良いの?」
 確かにアレが中にいるウチは、彼女は滅多なことでは怪我や病気にはならないでしょう。
 しかし時を経て、大きくなり過ぎたモノ。
 やがては彼女自身をも、飲み込むでしょう。
 …そう、始めて彼女を見た時。
 あのまま飲み込まれても、おかしくはない状態なのです。
 ですが彼女はニコッと笑います。
「別に今のままで、不自由はないわ。私はコレとは相性が良いみたいでね。ある程度は使いこなせるし」
 確かに出入りは自由にできるみたいですが…。
「でもそれで得た分だけ、貴方にも何かあるんでしょう?」
「ん~。でも別に私自身があんまり気にしないからねぇ。それに私にはあるから」
「あるって、何が?」
 ―そこで彼女が微笑んで言った言葉に、わたしは目を見開き、言葉を失いました。
「……そう、なの」
「そっ。だからできればほっといて。何かあれば、相談するからさ」
 ひょうひょうとする彼女は、確かに『ある』ようでした。
 わたしは深く深く息を吐き、頷きます。
「分かったわ。それじゃあコレ、わたしの名刺。何かあったら、いつでも連絡して。夜中でも早朝でも構わないから」
「ありがと。へ~、事務所もあるんだ。遊びに行ってもいい?」
「いいわよ。貴方には教えておきたいこともあるしね」
「さーんきゅ。あっ、姉達のこと、よろしくね」
 そこでふと気付いた疑問を、わたしは言ってみました。
「そう言えばお母様やお姉様には何もいないようね」
「ああ…。アレはどうやら人を選ぶみたいだからね」
「選ぶ?」
「そっ。自分を必要とするモノを」
 つまり彼女は必要としている、という意味ですか。
「だから姉は平気で墓場に行ける。私はダメね。まあお盆とかお彼岸はしょーがないと思って行っているけど」
 そう言って彼女は肩を竦めました。
 多分、彼女の中のモノが、激しく反応するのでしょう。
 昔の呪術の一つには、人の屍を使ったものがあるようですし。
「お姉様から貴方には先読みの力があると聞いたのだけど…」
「そこまで大したモノじゃない。ただちょっと先が見える時があるだけよ」
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【2011/08/30 15:46】 | 【ホラー/オカルト短編集】
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