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「Boys Summer Love!」・1

2011.07.19(00:49)

 僕と彼が出会ったのは、僕が小学4年生で、彼が小学1年生の時だった。
 両親に連れられ、母方の実家にはじめて行った時だった。
 当時、僕の学校は夏休みに入ったばかり。
 いつもは父方の実家に行くのだが、母方の実家には行ったことがなかった。
 理由は母が田舎を好きじゃなかったからだ。
 母の実家は昭和時代で時が止まっているような村で、豊富なのは自然ぐらいだと母が苦笑しながら言っていた。
 だけど今回、さすがに実家の家族から、顔を見せろとの催促が来たらしい。
 さすがに10年以上、実家に帰っていないことをマズく思ったらしく、今回の夏休みは母方の実家で過ごすことになった。
 僕は少なからず、楽しみだった。
 僕の住んでいる街は都会だし、父方の実家も田舎ってほどじゃなかった。
 だからか、大自然に憧れを抱いていた。
 それにまだ顔も見たことがない、親戚達に会うのが楽しみだった。
 何度か電話や手紙・ハガキなどでやり取りしたことがあるぐらいで、交流がほぼ無かったから。
 でも実は、この帰省にはちょっと裏があった。
 聞かされたのは、すでに新幹線に乗り、電車に乗り、バスに乗り、タクシーを乗り、実家の邸に向かって歩いている途中だった。
 何でも母の兄の長男が、ちょっと難しい性格をしているらしい。
 そのせいか学校でも浮いていて、一緒に住んでいる家族や親戚にも心を開いてくれないようだった。
 なので歳が近く、今まで接したことがない僕になら、興味を持ってくれるんじゃないかっていう話が、母と伯父の間で交わされていた。
 将来、実家を継ぐ立場だから、もう少し他人と交流を持ってほしいらしい。
 要するに遊び相手になってほしいとのこと。
 僕は笑顔で承諾した。
 僕にとってはイトコだし、年下のコと遊ぶことなんて滅多になかったから、楽しみにしていた。
 実家の邸は小山の上にあるので、坂道を歩く。
 母の言った通り、民家よりも自然が目立っている場所だった。
 でも空気は美味しいし、緑がキレイで、セミの声が心地良かった。
 夏休みいっぱいここにいられると思うと、心は高鳴った。
 …しかし実家の邸の前で、呆然となった。
 ウチは都心に建つそこそこ高級なマンションに住んでいた。
 父の実家は普通の二階建ての一戸建て。
 しかし母の実家の邸は、まさに昭和という時代がピッタリな、大きくて広い和風の邸だった。
 …ここで肝試しなんてやったら、雰囲気ピッタリだな。
 そう思いながら門をくぐった。
 伯父夫婦は玄関で待っていてくれて、僕達を歓迎してくれた。
 …が、母はさすがに説教されていた。
 どうも田舎嫌いは生まれ付きらしく、終始渋い顔で伯父と対戦していた。
 その間、伯母がここのことを説明してくれた。
 ここ、宮乃原(みやのはら)家は先祖代々・地主だった。
 そしてこの土地は今では枯れてしまったものの、昔は金が取れたり、温泉が出ていたらしい。
 しかしすっかり取り尽してしまい、金は底をつき、温泉は今では実家のおフロに使うぐらいしか出ないという。
 それでもおフロは立派らしいので、楽しみだった。
 今では農業をしており、それで細々と食べているらしい。
 けれど一応、跡継ぎが必要なのだと言った。
 それは伯父夫婦の長男に決まっているものの、消極的過ぎて将来がちょっと不安らしい。
 上に5人も姉がいるせいで、最近では跡継ぎを放棄するようなことも言い出しているらしい。
 僕にはあんまり関係ない話だけど、跡継ぎ問題は大変みたいだ。
 昔のように長男に継がせたい伯父夫婦、だけどそれに反発しているイトコが何だかかわいそうだった。
 僕だって生まれた時から将来が決まっているなんて、ちょっとイヤだ。
 とにかく僕にはイトコに友達になってほしいという伯母の言葉に、素直に頷いた。
 ふと邸の中を探索してみたくなった。
 けれど母は伯父とバトル中で、父は疲れていた。
 なので1人で探検に行って来ると言って、僕は部屋を出た。
 歩けば歩くほど、邸の古さが分かった。
 でもこういう家も良いな。
 古いけど、人が過ごしてきた歴史みたいなのが感じられる。
 しかし僕は油断していた。
 ウロウロしているうちに、迷子になってしまったのだ。
「あっあれ? ここ、どこだろう?」
 辺りを見回しても、同じ光景にしか見えない。
 ここまで広い家の中を歩くのははじめてで、まさか迷うなんて思わなかった。
 周囲に人の気配は無い。
 どうしようかうろついているうちに、奥へと来てしまった。
 薄暗く、何か出そうな雰囲気に、泣きたくなってくる。
「ううっ…。だっ誰かいませんか~?」
 泣きそうな声を出すも、反応無し…。
「だっ誰かぁ~」
 それでも声を出さなきゃ、泣きそうになっていた。
 ところがとある部屋の前で、いきなり襖が開いた。
「うわっ!?」
 驚いて後ろに引っ繰り返ってしまった。
 中から出てきたのは、陽に焼けた肌に、少し伸びた黒い髪、大きな茶色の目をした子供だった。
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