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 それともコレが年上の余裕さなのだろうか?
キス…してほしいです」
 そしていつも負けてしまうのは、アタシが年下だから?
「―良いですよ」
「んんっ…!」
 けれどアタシのワガママを何でも聞いてくれるから、甘えてしまう。
 情熱的なキスに、頭の中まで熱くなる。
 気付けばあの人の膝の上に座っている格好になっていた。
 けれど気にせず、アタシの頬を撫でてくる。
「あなたは本当に可愛いですね。それに優秀でもある。教育のしがいがありますよ」
「…調教、の違いじゃありませんか?」
「ああ、そうとも言えますね」
 あっさりと肯定したよ…。
「もしかして他のメイドにも、アタシと同じことをしています?」
「心外ですねぇ。しませんよ、そんなこと」
 真顔で本気で言っているので、それは信用しよう。
「どうもあなたは誤解しているようですが、こんなに年下の女の子と付き合うのははじめてなんですよ? しかも職場の部下ですし」
「じゃあ何で手を出そうと思ったんです?」
「…それは『何で告白したんですか?』の間違いでしょうに…。んっ、やっぱりありがちですけど、あなたが他の男に取られるのが嫌だったからですよ」
 そう言ってアタシの手を恭しく取り、手の甲に口付けてくる。
 今度はこっちが心外。
「一体いつからアタシに眼をつけていたんです?」
「……『いつから気になっていたんです?』と言いたいんですよね? 答えは残念ながらハッキリとはしていませんが、一緒に働いている時には愛おしい気持ちに気付いていましたよ」
「友達の娘なのに?」
「一応自制はしていましたよ? ですがまさかあなたが告白を受け入れてくれるとは思わなかったので」
「そっそれは…」
 嬉しい―と素直に心から思ってしまったから。
 だから告白を受け入れた。
 恋人になって、甘い関係になって、毎日が楽しく過ごせてしまうほど、アタシもこの人のことが…。
「それは?」
 意地の悪い笑顔を浮かべながら、間近でアタシの顔を見てくる。
「…やっぱり素敵な人だなぁって、憧れの気持ちを持っていましたからね。この人がアタシの恋人になるって考えただけで、嬉しくなっちゃったんですよ」
 ちょっとぶっきらぼうに言って、今度はアタシの方からキスをする。
「ふふっ。なら両想いってことですね」
「…ですね」
 でも正直、いつまで続けられるかは分からない。
 やっぱりお互い、立場がある。
 それにここの仕事も、慣れれば楽しい。
 仕事を辞める気はお互いサラサラないだろうしなぁ。
「では明日にでも、ご主人様に報告しに行きますか」
「何か報告すること、ありましたっけ?」
 ここ最近の仕事を振り返っていると、あの人は苦笑した。
「いえ、そうではなくてですね。仕事ではなく、恋愛の報告をしようかと言っているんですよ」
「……はい?」
 それって今まさに、アタシが考えていたこと。
「でっでも良いんですか? 立場が悪くなったりとかしません?」
 確かに同僚からバラすよりも、雇い主であるご主人様に一番最初に報告した方が良い。
「ウチのご主人様は別に恋愛を禁止していませんからねぇ」
「でっでも同僚達に何と言われるか…」
「気になります?」
 アタシは素直に頷く。
 気になるからこそ、今までこういう秘密の付き合い方をしてきたから。
「―大丈夫ですよ。あなたと付き合っているからと言って、私が何か変わったわけでもありませんし」
「…悪い噂が立つかもしれませんよ?」
「言いたい人には言わせておきましょう。…ああ、でもそれならいっそ、結婚しますか?」
「はあっ!?」
 また突拍子もないことを…。
「別に夫婦で勤めることなんて、いくらでもあることです。恋人という不安定な関係よりも、しっかり夫婦という間柄になれば、悪い噂なんて立ちませんよ」
 …いや、それでも少しは流れると思うけど。
 でも確かに言われてみれば、結婚の方が落ち着くのは早いかもしれない。
「でも…」
「まだ何かありますか?」
 人が悩んでいるのに、額や頬にキスしてこないでほしい…。
 ちゃんと真面目に考えているのに、この人は…!
「ウチの父には、何て報告するんですか?」
 はっきりとした声音で尋ねると、動きがピタッと止まる。
 やっぱりこの人、仕事バカだ。
 そっちのことは考えていなかったんだろう。
「ウチの父はアナタを信用して、ここに働かせているんですよ? それが一年しか経っていないのに、結婚とか言い出したら、怒りそうなんですけど」
「…そっちの問題がありましたか」
 唸りながら、険しい表情を浮かべる姿を見ると、ちょっと可愛いって思ってしまう。
「まっ、そっちはおいおい。何せ二十歳過ぎれば、結婚は自由ですからね」
 確かにそうだけど、でもその言い方って…。
「何かアタシが二十歳過ぎるまで、待っていたって感じの言い方ですね?」
「そっそんなことはありませんよ!?」
 珍しく動揺を見せる。
 アタシは深く息を吐きながら、改めてこの人との未来を考え始めた。
 …でもまずは、ご主人様や同僚、そして両親の報告が先。

―アタシ、この人と結婚します。

 ってね?

<終わり>

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FC2blog テーマ:恋愛小説 - ジャンル:小説・文学

【2017/07/18 01:48】 | <Kiss>シリーズ
【タグ】 小説  キスシリーズ  短編  キス  甘々  恋愛  歳の差  メイド  執事  
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