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Kissシリーズ・甘々のキス・11(1)

<Kiss>シリーズ
07 /18 2017
 世の中は『年の差婚ブーム』、らしい。
 テレビで見たけれど、女性は年上の男性を最初の夫として、抱擁力を求める。
 そして男性は年下の女性に、最後の女としての役目を求めると言う。
 …生々しい話だけど、そういうのもアリだと思う。
 そう思ってしまうアタシ自身、年上の男性と付き合っているからかもしれない。
「でも…本当に恋愛として、成り立っているのかなぁ?」
 大きなため息を吐く。
「どうかしましたか?」
 けれど背後からあの人の声を聞いて、背筋をピンッと伸ばす。
「いっいえ、何でもありません!」
 振り返れば、愛おしい恋人がそこにいる。
 今日も執事服が良く似合っていて、思わずニヤけそうになる顔を必死に抑える。
「このお邸は広いですからねぇ。メイドのあなたが掃除するのも大変でしょう」
 四十六歳の彼は、まだ二十三歳のアタシにとても優しい。
 …でもアタシに限ったことではないんだけどね。
「いえ、これもお仕事ですから」
 けれどアタシはニッコリ笑みを浮かべて、箒を持ち上げる。
 今、アタシは一人で庭の掃除をしている最中だった。
「ところで何かご用事ですか?」
「ああ、そうでした」
 あの人は柔らかな笑みを浮かべたまま、アタシの側に来る。
 そして耳元でそっと、
「…今夜、私の部屋に十時に来てください」
「はっはい…」
 低い声で囁かれ、思わず声が裏返ってしまう。
 けれどあの人はにっこり微笑んで、邸に向かう。
「ふぅ…」
 …あの人と恋人になって数ヶ月は経つけれど、こういうのは慣れないなぁ。
「まっ、相手が上手ってことだけど」
 アタシはメイドとして、あの人は執事として、ここに住み込みで働いている。
 大学を卒業したのは良いけれど、就職浪人となってしまったアタシに声をかけてくれたのが、あの人だった。
 最初はメイドなんて…と思っていたけれど、お給料が良かったので、今では自然な作り笑みも得意になってしまった。
 元々ウチの父親とあの人が友人同士で、小さい頃からあの人とは会っていた。
 その頃はまだ、ちょっと渋い感じがするけれど、優しくて気のきく人だなぁ~って思っていただけだった。
 それがこういう関係になったのは、あの人から告白されたから…。
「でも公にはできないしな」
 執事のあの人が、メイドのアタシと付き合っていることは内緒。
 広まれば、絶対よくない噂が流れる。

執事が下っ端の使用人に手を出した―

 何て噂が広まったら、あの人もアタシもここを辞めなくちゃいけない。
 ここのご主人様は世間的にも有名な人だから、悪評がついた後、再就職するのは難しそうだ。
「まあ内緒なのは良いんだけどね」
 あの人はとても人当たりが良くて、老若男女から人気が高い。
 けれど歳が歳だから、アタックしてくる女の子はあまりいない。
 それが安心するところだけど、やっぱり…秘密って辛いかも。
 仕事を終えて、お風呂に入った後、アタシは再びメイド服を着る。
 もちろん、洗ったばかりの綺麗なの、だ。
 寝巻きで邸の中を歩くことは禁止されているし、私服であの人の私室に入るところを見られては、妙な噂が立てられてしまう。
 だからあの人がアタシの部屋に来る時も、執事服。
 …まあそれはちょっと萌えるから良いんだけど。
「何てバカなこと考えている場合じゃないわね」
 もうすぐ十時になる。
 あの人の部屋もアタシの部屋も個室だけど、やっぱり執事であるあの人の方が立派な部屋を与えられている。
「アタシも出世したら、良い部屋を貰えるのかな?」
 そうすれば…あの人も堂々と部屋に来てくれるかもしれない。
 今のままじゃ、どうしたって仕事の延長戦みたいな感じだし。
 あの人の部屋の前で軽く身だしなみを整え、扉をノックした。
「どうぞ」
「失礼します」
 礼儀正しく部屋の中に入る。
「あれ? まだ着替えていなかったんですか?」
 部屋の中に他に人がいないことを確認して、口調を和らげる。
「ええ。ですが時間はピッタリなので、気にしないで良いですよ」
 執事服を脱ぎかけって…妙に色気があって、参るなぁ。
 …でもアタシがメイド服を脱ぎかけた姿って、ただたんにだらしない感じしかしない。
「さっ、こちらにおいで」
 ベッドに腰掛けて、あの人が手招きする。
 高鳴る胸を押さえながら、アタシは前に進み出る。
 そしてあの人に手を掴んで引っ張られ、思わずその体に抱き着いてしまう。
 …見た目とは反して男らしい体、何度触っても、やっぱり緊張する。
「ふふっ。可愛いですね」
 あの人が浮かべる笑みはいつも見ているもの。
 …けれどその眼に鋭い光が宿っているのを見て、思わず体が熱くなる。
「あっ…」
 あの人の指がアタシの唇に触れる。
「さて、何か言いたそうな顔をしていますね?」
 …イジワル、だ。
 ここでお預けをくらわすなんて。

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sakura

 現在はフリーシナリオライターとして活動しています。活動記録を掲載していきたいと思っています。「久遠桜」の名前でツイッターもしていますので、よければそちらもご覧ください。仕事の依頼に関しては、メールフォールでお尋ねください。

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