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Kissシリーズ・甘々のキス・9

 年下の男の子って、今までは弟みたいな感じに思っていた。
 それが例え一つの差でも、わたしにとっては弟みたいな感覚で付き合っていたのに…。
「キミと付き合うようになってから、感覚が変わったのかなぁ?」
「ん? どういう意味?」
 桜が咲く土手の道を、つい最近恋人になったわたしの彼氏と一緒に歩く。
「いやね。キミと付き合うまでは、わたしは恋人にするなら同い年が年上が良いって思ってたから」
「でも実際は違って、がっかりした?」
 苦笑まじりに言う彼の顔を見て、わたしはニッと意地悪く笑う。
「ちょっぴしね。でも現実と理想は違うって言うし?」
「…それってフォローになっていないよ」
「アハハ。ゴメンね? ホラ、わたしってちょっとSっ気あるからさ」
「……知っているよ」
 彼はどこか遠い目をしながら、肩を竦める。
 うん、彼は元々わたしの性格を熟知しているから、問題はないか。
 彼は高校2年生、わたしは高校3年に進級したばかりの春。
 それまでは同じ委員会の先輩・後輩だったわたし達だったけど、何故だかわたしの方から彼に告白して付き合うようになった。
 けどまあそれまで、彼がわたしに抱いている感情には気付いていた。
 何かと気をかけてくれるし、大事にもしてくれる。
 でもそこまでなら、今までそういう人がいなかったワケじゃない。
 彼とそれまでの人との違いは……。
「からかうと面白いから、かなぁ?」
「何か今、悪魔の囁きが聞こえた気が……いや、空耳だ。オレには何も聞こえない」
 そう言って青い顔色で、両手で両耳を塞ぐ。
「んもー。そうすると手が繋げないじゃん」
 少しむくれながら言うけど、彼は知らん顔。
 よーっぽどわたしにオモチャにされるのが気に食わないらしい。
 …生意気な。
 わたしは思いっきり彼の腕にしがみついた。
「ていっ!」
「うわっ! 重っ!?」
 びっくりした彼が耳から手を離したのは良いけれど……今何か聞きたくない言葉が聞こえた気がした。
「―誰が重いって?」
 だからムッとして、彼の正面に回り込み、両腕を掴んで見上げる。
「えっ、いや、その…ホラ、今力をかけただろう? だから重力がな……」
 あたふたとしながら言い訳するんだから、やっぱり可愛いし面白いな。
 そんな思いが表情に出てしまったのか、彼の言葉がピッタリ止まった。
「…もしかして、からかった?」
「ううん。最初はちょっと怒ってた。でもキミの言い訳聞いているうちに、何か楽しくなっちゃった♪」
「本当に先輩ってサドだよな」
「そんなわたしが良いんでしょう?」
「……むう」
 困った顔で言いづまる彼。
 実は心の中ではこんなわたしが良いと本気で思っていることぐらい、とっくに見抜いている。
「ぬふふっ。キミって本当に可愛いねぇ」
「先輩って付き合い始めてから、意地悪度が増してない?」
「だぁってキミのことが好きなんだもん!」
 そう言ってわたしは背伸びをして、彼の唇にちゅっとキスをする。
「んなっ!?」
 突然のことに彼は身を引こうとするけれど、わたしは掴んでいる手に力を込めて、それを許さない。
「キミだけだよ? わたしがこんなにイジワルになれるのは」
 困る顔が可愛くって、それでもわたしから離れられない彼が愛おしくって。
 いつの間にか、わたしは彼に夢中になっていた。
「でも先輩、ちょっとは優しくされたい気持ちはオレにはあるんだけど」
「おやまっ。キミってわたしにイジワルしてほしくて、恋人になったんじゃないの?」
「そんなワケあるかっ! オレはその……こっ恋人として、もっとイチャイチャしたいっつぅか……」
「ふむ…」
 イチャイチャ、ねぇ。
 …周囲の友達から言わせれば、こうやってわたしが彼をいじっている姿は、まさにイチャイチャしているように見えるらしいけど。
まあ他人から見るのと、本人が感じるのでは違う部分もあるだろう。
「なるほど。つまりキミはもっとわたしにイジワルをしてほしい―と」
「そっそういう意味じゃない!」
「え~? でもわたしにとっては、イジワルすることがイチャイチャすることなんだけど?」
 ケロッとした態度で言うと、彼はがっくり項垂れた。
「…そっ。なら良いよ。先輩の好きな方法で」
「やった♪ ありがとね」
 わたしははしゃぎながら、彼の腕の中に飛び込んだ。
「わっ! 先輩?」
「えへへ~。スリスリ」
 口で言いながらも、本当に彼の頬に頬ずりする。
「きっ急に何だよ?」
「だってキミがイチャイチャしたいって言うからぁ」
 彼の背に腕を回し、決して離れないように抱きつく。
「ったく、もう…」
 彼は渋々わたしを抱き締め返してくれる。
 けれどその横顔は、桜の花よりピンク色に染まっていた。
「くふふっ」
 だから思わず思ってしまう。
 こういう彼をずっと見ていたい―と。

<終わり>
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ジャンル : 小説・文学

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