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Kissシリーズ・懐きのキス(3)

<Kiss>シリーズ
07 /17 2017
「…ごめんなさい」
 素直に謝るけれど、離れはしない。
 だから背中に手を回して、頭を撫でてやる。
「…ねぇ、おねーさん」
「なに?」
 少年は不安そうな表情で、わたしを見上げる。
「おねーさんは何でボクのワガママ、聞いてくれるの?」
 『ワガママ』であることは、自覚していたか。
「…さてね。アンタのことは可愛いとは思っているから、母性本能かな?」
恋愛感情じゃなくて?」
「そこまではいかない」
「…むぅ」
「アンタもいい加減にしたら?」
 ポンポンと背中を叩きながら、言い聞かせるように優しい口調で言う。
「もうそろそろ新しい恋を見つけたら? アンタと同じ年頃の可愛い女の子、世の中にはいっぱいいるでしょう?」
「そりゃそういうコはいるけど、ボクの好きなおねーさんはここにしかいないもん」
 そう言ってぎゅうっと力強く抱き着いてくる。
「もしかしておねーさん、不安? ボクが年下のがイヤ?」
 急に顔を上げたかと思ったら、またツッコンでほしくない質問をしてくる。
「イヤって言ってもどーなるもんでもないでしょう? 確かにちょっと思うところはあるけど…」
 年の差だけはどうにもできない。
 同じ時代を生きているとは言え、やっぱり違いは出るものだ。
 その差を埋めることをしないわたしは臆病者。
 だから少年とは恋人にはなれない。
「…そっか。ボク、おねーさんが年上だから、もっと強い人かと勝手に思い込んでた」

グサッ!

 思いっきり言葉の矢を放ちやがって…!
「てっきりボクがまだ子供だから、断られたのかと思ってた。頼りなく思われたのかと思って…」
「そんなことは思っていない。3つも年上の女に告白してきた時点で、アンタは強いコだって分かっているから」
 でも相手のわたしが弱くちゃ話にならない。
 告白を断っても、少年を避けられないのが良い証拠だ。
「……うん、分かった。じゃあこうすれば良いんだ」
 少年はわたしの両肩に手を置き、顔を伸ばしてきた。
「んっ…!」
 そして小さな唇が、わたしの唇に触れる。
 一瞬の、触れるような甘いキスは、けれど全身の血がかけ上るのに充分な威力だった。
「なっ何すんのよ!」

ゴンッ!

 だからつい、少年の頭にゲンコツを落としてしまう。
「いったー! だっだから、こうすれば不安なんか感じないだろう?」
「身の危険を感じたわっ!」
 子供だと思って油断してた!
 やっぱり男なんだ!
 少年は殴られた部分を両手で抑えながら、それでも真っ直ぐにわたしを見る。
「おねーさんが弱い分は、ボクが強くなる。それで良いんじゃないかな?」
「はあっ!?」
「だからずっと一緒にいる。絶対に不安に思わせないぐらいに、傍にいるから! だから…ボクのこと、信じてくれない?」
 そう言ってわたしの両手を掴んでくる。
 …ヤバイ。振り解けない。
 少年が本気であることが、ビシビシ伝わってくるから…。
「ゴメンね…。もっと早くボクが気付けば良かった。ずっとおねーさんは年の差、気にしていたんだね」
「…それは年上女の勝手な被害妄想だから、アンタが気付かなくても良いことよ」
「良くないよ! だってそのせいで、おねーさんはボクの告白、断ったんだろう?」
 …ごもっとも。
「だからボクが強くなるよ! そうすれば、おねーさんは恋人になってくれる?」
 強気な表情から、一気にすがるような顔になるなーっ!
 心の中が妙にうずく!
「えっ、あのっ、それは…」
「不安に思うことがなかったら、ボクでも恋人になれるってことだろう?」
「…まあ、なくは、ないけど…」
「なら! ボクがおねーさんの不安を感じさせないぐらい、強くなるから。だから恋人になってよ」
 二度目の告白―。
 それでも触れている手が震えていることから、かなり勇気を使っていることが分かる。
 …わたしなんかに二度も告白をしてくる男なんて、きっとこのコ以外はいないだろうな。
 わたしは思いっきりため息を吐いた。
「やっやっぱり、ダメ?」
「ううん。もう堕ちたなって思っただけ」
「えっ?」
 キョトンとする少年の頬に、キスをした。
「ええっ!?」
「これからよろしくね。アンタが知っている通り、わたしはあんまり強くないけど」
「でっでもおねーさん、結構暴力強いよ?」
「…こういう時に、言う言葉じゃないってこと、分かってる?」
 思わず握り拳を見せると、少年はヒッと息を飲む。
「ごっゴメン! 悪気は無かったんだ。ただ…ちょっとビックリして」
 ぼ~っと夢見心地の表情で、キスした頬に触れる。
「何よ? ずっと恋人になることが夢だったんでしょう?」
「うん…うんっ! ボク、おねーさんの恋人になったんだ!」
 改めて少年は喜んで、わたしに抱き着いてくる。
 ああ、やっぱり可愛いな。
 まだ始まったばかりの関係だけど、少年がいつまでもこのままだったら良いのに…と思ってしまう。
 まっ、きっと大きく成長しても、少年はわたしに懐いたままなんだろうな。

<終わり>
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sakura

 現在はフリーシナリオライターとして活動しています。活動記録を掲載していきたいと思っています。「久遠桜」の名前でツイッターもしていますので、よければそちらもご覧ください。仕事の依頼に関しては、メールフォールでお尋ねください。

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