フリーのシナリオライターとして活動しています
 少年は可愛いし、真面目に告白してくれた。
 けれどやっぱり3歳という年の差が気になって…。
 本気で付き合っても、あのコがいつか同じ歳の女の子に気が向くんじゃないかって思ったら…受け入れるワケにはいかなかった。
 なのに少年はずっとわたしの側にいる。
 そのことを拒否しないわたしも、イヤな女だな。
 母性本能が働くせいだけとは思えない。
 多分…ちょっとは異性として、見ている部分がある。
 でも必ず来る別れを分かっていながら、受け入れる強さがわたしには無い。
「はあ…」
 少年のことを考えると、いつもこうだ。
 堂々巡りの考えに陥ってしまう。
 ため息も多くなったもんだ。
 そんな悶々とした考えをしているうちに、授業は全て終了。
 校門に向かうと、少年が朝言った通り、待っていた。
「あっ、おねーさんっ!」
 わたしを見つけると嬉しそうに手を振ってくる。
 苦笑しながら手を振り、わたしは少年の元へ行く。
「待った?」
「一時間ぐらいね。でも図書館で勉強してたから」
 高校と中学では授業の時間も違う。
 だから彼に待ってもらうことは、ほぼ毎日。
 けれど文句一つ言わず、ちゃんと待っていてくれる。
「じゃあ行こうか」
 少年は朝のように手を握って歩き出す。
 人目があるけれど、気にしていないのか、それとも見せつけたいのか。
「今日は調理実習でクッキー作ったんだ。おねーさん、甘い物好きだよね?」
「うん、まあ…」
「じゃあおねーさんの部屋で一緒に食べよう?」
 無邪気な笑顔が、心に突き刺さる…。
「うっうん…」
 そして手を繋いだまま、わたしの家に到着。
 一軒家の家には、昼間は誰もいない。
 両親はスーパーを経営している為、二人で朝から仕事に出掛ける。
 兄は大学、姉はバイト。
 下に兄弟がいないせいで、少年には甘いのかもしれない。
 少年を家に入れるのも、もう何度目か分からない。
 玄関の鍵を開けると、少年は慣れたように靴を脱いで、二階のわたしの部屋へと向かう。
 わたしは台所で二人分の紅茶をいれてから、二階へ上がった。
 部屋の扉はすでに開かれていて、その隙間から入る。
 少年はベッドに座り、床に置いてあったマンガを読み始めている。
 まるで自分の部屋のようにくつろぐ少年を、怒る気にはなれない。
「ほら、紅茶いれてきたよ」
「うん」
 テーブルの上にトレーを置いて、ポットからカップに紅茶を注ぐ。
 少年はいつも角砂糖を2つに、ミルクも入れる。
 わたしはミルクだけ。
「ありがと、おねーさん」
「はい、どうぞ。熱いから気を付けて」
 少年はフーフーしながら紅茶を飲む。
「うん、美味しい。あっ、クッキーも美味しいと思うよ」
 そう言ってカバンからクッキーを取り出す。
 ビニールの袋に入れて、リボンで口を結んである。
 クッキーは一口サイズで、星やハートの形などがいっぱい入ってある。
 …わたしが作るよりも、上手かもしれない。
 などと思いながら、一つつまんで口に入れる。
 口の中に広がるバターの香りと、甘い味が舌の上で広がる。
「んっ。美味しいよ」
「ホント? 良かったー」
 口溶けが良くて、紅茶と合う。
 わたしがクッキーを食べる姿を、少年はニコニコしながら見ている。
「…ねぇ、見られていると何か気になるんだけど」
「そう? じゃあボクにクッキーを食べさせて。あーん」
 目を閉じて口を開けるので、仕方なくクッキーを食べさせてあげる。
「ぱくっ」
 と、クッキーをつまむ指まで食べられた。
「コラ」
 デコピンをするとすぐに口は開かれ、指が開放される。
「あいたっ。ううっ…。おねーさんのツッコミって激しいよ」
「じゃあ優しい女の子の所へ行きなさい」
「ヤダよぉ。ボクはおねーさんが好きなんだから」
 涙目になりながらも、わたしに抱き着いてくる。
「おっと…」
 体重がかかって、思わず倒れ込みそうになる。
「コラ、いきなり強く抱き着いてこないでよ。倒れたら、大変でしょう」
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【2017/07/17 01:28】 | <Kiss>シリーズ
【タグ】 小説  短編  キスシリーズ  キス  懐き  中学生  高校生  
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