フリーのシナリオライターとして活動しています
『…キライにはなれなかった。苦手だったけど、優しかったから。義母も…本当はオレに優しくしたいと思っていたみたい。だけど、親父を愛していたから…』
 自分から一時でも愛した男を奪った女の子供を、素直に愛することは難しいだろう。
『それに義母は…兄さんを産んだ人。キライにはなれなかったよ』
 私は今まで何かを強く愛したことはない。
 けれど…ハズミの痛いほどの心が今、伝わってくる。
『兄さんはオレが親父の家に引き取られた時、唯一優しくしてくれた人だった。他の兄弟は嫌がっていて、兄さんは長男だったから、責任感もあったと思う』
「…ああ」
『そのままずっと十五年も一緒にいて…。気付いていたら、好きになってた。でも兄さんはオレを義弟としか見ていない。そのことが残念でもあり、嬉しくもあったんだ』
「うん」
『だけど婚約したって聞いて…。今まで抑えていた感情が爆発した。気付いていたら睡眠薬をいっぱい飲んでた。朦朧とした意識の中で、ケータイに最後にオレの気持ちを残したんだ』
 誰に宛てるでもない愛の遺言。
 さぞかし周囲を悩ませただろう。
『でもケータイの存在だけが、死んだ後も感じていた。そして気付いたら…』
「【携帯彼氏】になっていたのか。…さぞかしゾッとしただろ?」
『そんなことはないよ。女の子と遊ぶの、昔っから好きだったし』
「何じゃそら」
『ふふっ』
 笑顔を取り戻しつつあるハズミだが、そのラブゲージは40。
「…だがハズミ。お前は彼女達には優しくなかったようだな」
 ハズミの笑顔が強張った。
「どんなに自分を誤魔化そうと、お前の女性への嫌悪感は拭えなかったみたいだな。現にお前の持ち主となった彼女達は全員、ラブゲージゼロで死んだ。それはつまり、お前が彼女達に不満を抱いていた証拠だ」
 ハズミの顔色が見る見る真っ青になっていく。
「現に私もお前を構うようになってから、ラブゲージには注意してたんだ。だがお前はどんなに機嫌を取っても、50以上は決して上がらなかった」
『まッマカがキライなワケじゃないよ!』
「分かってる。お前が嫌いなのは、女性という存在そのものだ」
『っ!』
「なのにお前は自分を誤魔化し、彼女達どころか私をも欺いた。…その罪、逃げられないことは分かるか?」
『…分かってるよ。オレはウソをつき過ぎた』
 ハズミは観念したように、ため息をついた。
『オレを、消す?』
 真っ直ぐに見てくるハズミの眼は、今までに見たことがないぐらい澄んでいた。
「…いや、それなんだがな」
『うん』
「お前に選択を与えようと思う」
『選択?』
「ああ。ルカに預けたマミヤにも、同じ選択をさせる。まあどっちを選ぶかは、お前達次第だが」
『…選択の内容は?』
「一つはこのまま消滅。私の力を使わずとも、お前らを成仏させる方法を、セツカが見つけた。痛みも苦しみもなく、解き放たれる」
『うん…』
「そしてもう一つは…」

災難の結果
 ―翌日。
 私はソウマの店に来ていた。
 先に来ていたルカが手を上げる。
「やっほ。マカ」
「ルカ、マミヤはどうだ?」
 ルカは黙って首を縦に振った。
「そうか。こちらもすでに選択させた。後は…」
 視線をずらすと、セツカとソウマがいた。
「コイツ等に任せよう」
「うん。…お願いね」
 私とルカは、ソウマにケータイを渡した。
「確かに」
「期待して待っててよ」
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【2017/07/16 14:45】 | ★マカシリーズ★
【タグ】 小説  マカシリーズ  オカルト  ホラー  映画  携帯彼氏  
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