マカシリーズ・【携帯彼氏の災難!?】5

2017.07.13(20:16)

 …一理あるな。
「そうだな、そうしてくれ」
「かしこまりました」
 カエデが電話をしに、退室した。
 次期当主ということで、異性関係にウルサイのだ。
「でもどうするの? 飼い続けるの?」
 レイラがミートローフを切り分けながら聞いてきたので、少し考えた。
「ふむ…。まあ少しぐらいなら相手しても良いが…。何分、作ったのが他の女だからな」
「自分の彼氏を押し付けてきたようなモンだもんねぇ。タチ悪っ!」
 モモが心底イヤそうに言ったので、私は苦笑した。
「押し付けてきたのも、理由があってのことなんだろう。明日、聞いてみるさ」
 そう言いつつ食事を進める。
「マカ様、当主からの許可がおりました。本日とは言わず、しばらく住み込みになりますので」
「ぶっ! …まあ良いが」
 過保護にも程があるな。
「あと当主からの伝言がございます」
 ふとカエデは真面目な顔になった。
「『今回の件はウチの血縁は関係無い』とのことです」
「…他の人間の仕業だと言うのか?」
「そこまでは分かりませんが…。とにかく、この件に関して我が血族は絡んでいないということですね」
 何だ、てっきり絡んでいるものだと思ってた。
 コレと似たような手口を知っているからな。
「しかし…普通の人間に出来る芸当か?」
「ありえなくはないわよ。人間にもいろいろいるもの」
 レイラの言うことにも一理ある。
 その後、ケータイは開かず、充電した。 
 3人はずっと一緒にいて、見張りのような役目をしていたからだ。
 本当はいろいろ聞いてみたかったんだが…。
 だが翌朝、事態は急変する。


「えっ? 休み?」
「うん…。何か体調悪いんだって」
 私に男を押し付けてきた女の子の教室を、朝一に訪ねると、知り合いにそう言われた。
「まいったな…」
 まっ、考えていないことではなかった。
 予想はしていた。私から逃げるだろうことを。
「…ねぇ、もしかして携帯彼氏、押し付けられた?」
 知り合いが上目遣いに、不安そうに聞いてきた。
「よく分かったわね」
 そう言ってケータイを開いて見せると、知り合いは短い悲鳴を上げた。
「やっぱり…!」
「えっ? 知ってたの?」
「うっうん…」
 知り合いの顔色は真っ白になっていく。
「その、知らないの? 携帯彼氏のこと」
「うん、全く」
 素直に頷くと、知り合いは私から一歩距離を取った。
「今…それがウワサになっていてね」
 またウワサか…。
携帯彼氏を持つと、死んじゃうってハナシ」
「ふーん」
 まあありがちだな。
 しかし知り合いは、私を変なものでも見るような目付きで見てくる。
「怖く…ないの?」
「あんまり。実感が無いからかな?」
 本当はこんなのに負ける気が無いからだ。
 こっちの世界では、気圧されたら負けを認めた証拠。
 強気でいたほうが何かと良い。
「じゃあ彼女は自分が死ぬのを恐れて、私にコイツを押し付けてきたってワケ?」
 ケータイを閉じると、知り合いはまた一歩近付く。
「多分…。ゲージが一ケタ台になって、随分落ち込んでいたから」
「ゲージ…」
 それが生死を左右するのか。
「ナルホド。分かった、ありがと」
「えっ? いいの?」

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