FC2ブログ

スポンサーサイト

--.--.--(--:--)

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 トラックバック(-) | コメント(-) | [EDIT]

【柘榴】・14

2017.07.04(08:37)

 挑発するな! キシ!
「だろうね。だから考えたんだ。キミの中の僕を、永遠にする方法を考えたんだ」
 先生はアタシを見たまま、ナイフの刃を自分の首に当てた。
 そして…

ブシュッ!

 …血が、舞った。
「…っ! サガミ先生ぇ!」
 アタシの絶叫は、空しく屋上に響いた。
 サガミ先生は血に塗れながらも、笑顔で倒れた。
 キシは眼を丸くし、言葉を無くした。
 アタシは無我夢中で、先生の側に寄った。
「こんなことしてっ、意味があるって言うんですか!」
「ある…よ。キミはこ…したら、きっと、忘れ…ない、から…」
「何でっ…!」
 どうしてこんなことになった?
 いつからおかしくなった?
 アタシは誰にも傷付いてほしくないから、自分を傷付けていただけなのに!
 血に塗れた先生の手が、アタシの頬に触れた。
 いつの間にか流れていた涙を、拭ってくれる温かな手。
 でも…急速に熱は失われていく。
 アタシの血族としての能力は、血肉を食す代わりに、自分の身体能力を上げるだけ。
 マカのように、『気』を使うことはできない。
 だから…死に往くサガミ先生を、助けることはできない。
 応急処置をしても、救急車を呼んでも、もう…。
「…泣いて、くれる…ですね。やっぱ…り、あなたは優しい…コだ」
 優しくなんてない! 
 こんな涙なんて…意味が無い。
「最期の…僕のワガママ、聞いて…もら、えるか…な?」
「…何ですか?」
「キシ…くんと、し…あわせに…なって、くださ…」
 アタシとキシは大きく眼を見開いた。
 けれど…問いかける間も無く、先生は…命の灯を消してしまった。
 アタシの頬から滑り落ちる、冷たくなった手。
 笑顔のまま固まってしまった笑顔。
 アタシの眼からは、次から次へと涙が溢れ出る。
 そんなアタシに影がかかった。
 …キシだった。
 キシは何も言わず、先生のまぶたを手で落とした。
「キシ…」
「はい」
「アタシは…何を、間違えたの?」
「…ヒミカは何も間違えていませんよ。そしてボクも。…サガミ先生も、ね」
「人を、殺しても?」
「誰だって狂気は持っています。それをコントロールできるかは、自分自身だけです。そして狂気を持つことは誰も否定できませんし、禁止されてもいませんから」
 確かに…そうだ。
 狂気を持つことは、誰にも否定できないし、禁止されてもいない。
 けれど、サガミ先生の狂気を触発させたのは、間違いなくアタシだった。
 アタシがいなければ、サガミ先生は優しい先生のままだったのに…!
 やり切れなかった。
 キシは立ち上がり、ハシゴの方を向いた。
「カミナ」
「…はい、坊ちゃま」
 ハシゴを上って来たのは…カミナ先生だ。
 …どういうこと?
 どうしてキシは、カミナ先生を呼び捨てに…しかもカミナ先生はキシの事を「坊ちゃま」って…。
「紹介が遅れて申し訳ありません。カミナはボクの付き人なんですよ」
 キシは気まずそうに、カミナ先生を見た。
「付き…人?」
「ええ。ボティーガードの役目もあります。父がわざわざ講師にまでしまして…その、ボクの意思ではなかったのですが…」
「キシ坊ちゃまは悪くありません。なので、どうかお許しを」

スポンサーサイト

コメント
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:
http://hosimure.blog33.fc2.com/tb.php/1114-1a230343
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。