フリーのシナリオライターとして活動しています
 …と考えてみれば、今はもう昼。
 残りの時間の潰し方を考えれば、普通に授業に出ることしか思い浮かばなかった。
 けれど心ここにあらずで過ごす。
 …授業料のムダだな。
 深く息を吐いた。
 授業が終わると、アタシは教室を出て、屋上へ来た。
 例の給水塔の上にハシゴを使ってよじ登り、沈みゆく太陽を見つめた。

ぞくっ…!

 背筋が痺れた。
 真っ赤な夕日が、血の色を思い出させる。
 そしてあの味も口の中によみがえる…!
 強烈なノドの渇きを感じる。
 ああ…ダメだ。
 アタシは懐から、ナイフを取り出した。
 銀色の薄い刃が、夕日の赤に照らされ、妖しく光り輝く。
 そのまま刃を手首に当てた。

―が。

「また、血を飲むつもり?」
 声をかけられ、ハッと我に返った。
 この声はキシじゃない!
 聞いたことのある、この声はっ…!


真実

 アタシはゆっくり振り返った。
 ハシゴを上って来たのは―サガミ、先生だった。
 別の意味で、ノドが渇いた。
「サガミ先生…。今、何て…」
「キミは自分の血しか、受け付けないのかい?」
 サガミ先生は穏やかだった。
 全く動じる様子が無いのが、今は怖い。
 アタシは立ち上がった。
「どうして…」
「キシくんと同じ理由だよ。キミが自分の血を飲むところを、見たんだ」
 笑顔で返答してくる。
「でも僕はキシくんのような独自のルートは持っていなくてね。情報不足なんだ。だから、失敗してしまったのかな?」
 そう言って肩を竦めて見せる。
 …もしかしなくても、連続猟奇殺人事件の犯人は…。
「サガミ先生、あなた…だったんですか?」
「うん。僕だよ」
 またあっさりと返した。
「どうして…!」
「それはボクから説明しましょうか?」
 キシがハシゴを上って来た。
「キシ!」
「お待たせしました、ヒミカ。ようやく証拠を押さえられましてね」
 キシは向かいのビルを見た。
「ヒミカ、アナタは少し、注意力が不足気味だったようですね」
「それは…!」
 否定のしようが無い。無かった。
 まさかキシだけではなく、サガミ先生にまで見られていたなんて…!
「でもサガミ先生が、ヒミカの儀式を見たのはここじゃないんですよ」
「えっ?」
 アタシは思わずキョロキョロと辺りを見回し…そして気付いた。
 例の…料理教室のある場所から、ここは丸見えだ。
「まあ距離がありますし、一応逆光のことを考えてたみたいですけど、ちょっと頭の働く人なら分かってしまう行為ですからね」
 角度とかで…バレてしまう可能性を考えていなかった。
「サガミ先生、あなたがヒミカの儀式を見たのは、例の料理教室ですね?」
「うん。そうだよ」
 キシの問い掛けにも、サガミ先生は笑顔で答える。

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【2017/07/04 08:22】 | ★マカシリーズ★
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