【柘榴】・11

 ここで野菜を育てているのが、サガミ先生。
 恐る恐る扉を開けると、明るい照明の元には緑が一面に広がる。
「サガミ先生、いらっしゃいますか?」
 キシが声をかけると、奥からサガミ先生が出てきた。
「やあヒミカくんにキシくん。珍しい組み合わせだね。どうしたの?」
 柔らかい口調と物腰。
 サガミ先生は癒やし系の先生として人気だった。
 他が…個性が強過ぎるからなぁ。
「サガミ先生にこの間教えてもらった料理教室、とても良かったですよ」
「それは良かった。キシくんのご希望に叶ったかな?」
「ええ、それでですね…」
「あっ、もしかしてヒミカくんも興味を持った?」
 おおっと…。これは予想外。
 察しが早い人だ。
「えっええ」
「興味を持ってもらえて嬉しいよ。あいにくとチラシは今、手元に無くてね。まあ無くてもすぐ隣だから」
「隣?」
 サガミ先生が指差した方向には…隣のビルがある。
「あのビルの8階でやっているんだ。講師は僕の先輩夫婦。若い人向きの肉料理を教えてくれるんだ」
 …なるほど。接点はあったんだな。
 野菜料理担当という名前に、頭が回らなくなってた。
「ところでサガミ先生は、あそこの料理教室のメニューをご存知なんですか?」
「全部というワケではないけどね。ある程度なら知っているよ」
 キシの問い掛けにも、サガミ先生は穏やかに答える。
「そうですか…」
「うん。話は僕の方で先輩達に伝えておくから、いつでも行くと良いよ」
「はっはい」
 …やっぱり穏やかな人だなぁ。
 終始ニコニコ。
 でも、この温室の匂いは…。
「さっ、ヒミカ。用事は済みましたよ。行きましょう」
 キシがまたアタシの肩を抱いて歩き出す。
「あっ、サガミ先生! ありがとうございました!」
「はい」
 キシに強引に温室から引っ張り出された。
 嫉妬深いヤツだな、本当に。


専門学校 /結末へ向けて、動き出す真実

 ちなみにキシに儀式を見られたのは、この屋上の給水塔の上だった。
 この建物の一番上。だから気を抜いてしまっていた。
 ジッと見ていると、キシも見上げた。
「思い出の場所ですよねぇ…」
「忌まわしい思い出の、ね」
 トゲトゲしく言うも、キシは笑うだけ。
「…それで? 犯人は分かったの?」
「ええ、もちろん」
「うっそ?!」
 …実は半信半疑だった。
「まあ…大体は予想通りと言ったところでしょうか。後は証拠を見つけて、自白させるだけですね」
「…できるの?」
「ボク等の為ならば。それにきっと、犯人も見つけてほしいと思っていますよ」
 そう言ってキシはアタシを見て、にっこり微笑んだ。
「なのでボクは証拠を見つけてきます。ヒミカはここで待っていてくれませんか?」
「えっ! ここで? アタシも行くわよ!」
「ダメです、危険過ぎます。犯人はアナタの正体を知っているかもしれないんですよ?」
「それだったらキシだって…」
「ボクは独自のルートがありますから、大丈夫です」
 …確かにコイツ、そのルートでウチの血族のこと、知ったんだったな。
「だから大人しく、ここで待っててくださいね?」
「…早く帰って来る?」
「陽が沈むまでは、必ず」
 そう自身ありげにキシが言ったので、アタシは頷くしかできなかった。

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