フリーのシナリオライターとして活動しています
 ウワサをすれば何とやら。
 ちょうどエレベータから出てきたカミナ先生は、今日もキレイ。
「おっおはようございます、カミナ先生」
「おはようございます、カミナ先生」
 どもったアタシとは違い、キシは笑顔で言った。
「二人とも、職員室に何の用事? 課題の提出にでも来たの?」
「いえ、ホラ、カミナ先生に以前教えてもらった料理教室のことなんですけど、ヒミカも通いたいと言い出しましてね」
 ぎょっとしたが、声には出さなかった。
「あのチラシ、貰えますか? ボク、無くしてしまって…」
「ええ、良いわよ。にしても珍しいわね。ヒミカが料理教室に通うなんて。あなたはどっちかと言えば、料理を知識と考えているところあるから」
 アイタっ! 
 …確かにアタシは、自分の欲求を満たす為に料理教室に通っている。
 でっでも料理は好きだし、美味しい食べ物も好きだし…。
「実はボク達、付き合っているんですよ」
 そう言っていきなりキシはアタシの肩を抱き寄せた。
「っ!?」
「なのでずっと一緒にいたいって言われましてね」
「あらあら、まあ」
 何かを言いたかった…。
 でもこれもキシの作戦だって分かっていたから、あえて黙っていた。
「それなら納得できるわね。ふふっ、ヒミカにも可愛いところあるじゃない」
「ヒミカは元々可愛いですよ」
「~~~っ!」
 カミナ先生は持っていたファイルから、一枚の紙を取り出した。
「はい、どうぞ。あたしの友人がやっている料理教室なの。場所はここから駅3つ先、駅ビル2階で毎週金曜日の午後にやっているわ。家庭的な料理が多いけど、勉強になるわよ」
「あっありがとう、ございます」
 アタシは震える手で受け取った。
「それじゃ、頑張ってね!」
 カミナ先生は笑顔で自分の席へ行った。
 なのでアタシはキシを睨み付ける。
「…キぃ~シぃ~」
「言いたいことは分かりますけど、今は堪えてください。犯人はアナタの正体を知っているかもしれないんですよ?」
 小声で囁かれ、アタシは口を閉じた。
「とりあえず、次、行きましょう」
 キシに手を引かれ、職員室の奥へ行く。

 そこは受付事務所になっていて、数人の事務職員がいる。
「カガミさん」
 キシが笑顔で声をかけたのは、大きなお腹をさすっている女の人だ。
 あっ、知っている。
 主に宣伝を担当している人で、30代の女性。昨年結婚したって聞いたけど、オメデタになったのか。
 このお腹の具合だと、6ヶ月だな。
「あら、キシくん。それにヒミカちゃん。おはよう。どうしたの?」
 おだやかで優しい声と表情。幸せいっぱいなのが、伝わってくる。
「カガミさんにこの間教えてもらった料理教室、とても気に入りましてね。ヒミカも通いたいと言って来たんですよ」
「あら、本当? 嬉しいわぁ。あそこ、わたしの姉がやっているのよ」
「ええ、姉妹揃って美人ですね」
「まあお上手ね。ヒミカちゃんにゾッコンなのに」
「えっ!?」
 カガミさんはアタシを見て、クスクス笑った。
「『大事な女性の為に、美味しい料理を作りたい』って言ってきたのよ。ほら、わたし宣伝を担当しているでしょう? だから料理教室にも詳しいんじゃないかって、尋ねて来たのよ」
 もしかして容疑者5人全員にバレるのか!?
 思わずフラッ…とするも、二人はニコニコと話を続ける。
「ちょっと待ってね。…ああ、あった」
 机の上のファイルから、チラシを取り出し、アタシに差し出してきた。
「あっ、どうもです」

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【2017/06/20 06:56】 | ★マカシリーズ★
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