フリーのシナリオライターとして活動しています
「まあそうですね。私の友人の何人かも、高校を卒業すると同時に結婚するコがいますから」
 しかも中には出来ちゃった婚までいるんだから、生き急いでいるように思える。
 でも私はそこまで熱くはなれない。
「んで? やっぱ結婚はイヤか? 同棲を先にしたいか?」
「別に同棲も結婚もイヤではないですよ。先生のことは好きですし」
「なら何でちゃんとした答えをくれないんだ?」
 私よりも年上のクセに、拗ねた表情をしてくるのだから、可愛い人だ。
「金に不自由させないし、浮気もしないぞ?」
「知ってますよ」
 教師という安定した職業をしているし、私に夢中なのは充分身に染みている。
「じゃあ何で焦らすんだ?」
「焦らされている先生が可愛いから、と言ったらどうします?」
「…振り回すなよ、大人を」
「冗談ですよ」
 本当は半分、本気だけど。
 最後の一冊を入れ終えた後、私は先生に寄りかかった。
 そして間近にある先生を見上げると、微笑んだ先生に肩越しでキスされる。
「んっ…」
 もう数え切れないほど重ねた唇は、触れ合うたびに胸が高鳴って熱くなる。
 離れた後、私は思い切って疑問を尋ねてみた。
「…先生は何で、私と結婚したいと思うんですか?」
「何でってそりゃあお前…好きな女と一緒になりたいって言うのは、男として当たり前の願望だろう?」
 相変わらずストレートな人。
「女だって、惚れた男と一緒にいたいと思うだろう?」
「まあ否定はしませんけどね。もうちょっと、先生が冷静になってくれればと思いまして」
「それはムリ。俺、お前に夢中だから」
 あっさり却下した先生は、再び私を強く抱き締める。
「高校を卒業したら、今より会えなくなるだろう? ましてや大学には、俺より良い男がいるかもしれないし」
「案外寂しがり屋なんですね、先生」
「お前が相手だと、そうなるみたいだ」
 嬉しいことを言ってくれる。
 高校を卒業した途端、先生と結婚すれば、周囲の人達に在学中から付き合っていたことがバレて、騒がれること分かっているんだろうか?
 そうなれば先生は今のままじゃ、いられないのに…。
 私は大学に逃げられるから良いけれど、先生はそうもいかない。
 だから私は躊躇ってしまうのだ。
「高校を卒業したら同棲、私が就職したら結婚、というのはどうですか?」
「何で籍を入れるのをイヤがる?」
「イヤではないですけど…先生、教え子に手を出したという評判はよろしくないと思いますよ?」
 だからせめて、高校を卒業して数年後に結婚をすれば、ある程度は誤魔化せる。
「本当のことだから否定はしないが。まあでもお前が気になるんだったら、そういう風にしようか? 俺はとにかく、お前と一緒にいたいだけだし」
 ワガママな人。
 でもこういうところも、良いと思ってしまう。
「ああ、でもさ。ようは学校関係者に、結婚したことを知られたくないんだよな?」
「そうですけど…」
「ならさ、籍は入れて、結婚式とか披露宴をお前が就職した後にすれば良いんじゃないか?」
「それは…」
 確かにそれなら、二人の関係を表沙汰にしなくても済む。
「なっ? 良い考えだろう?」
「…先生、そんなに私と結婚したいんですか?」
「当たり前だろう? 愛してるんだから」
 至極真面目な表情で言われると……断ることができなくなる。
「…じゃあ、それで話を進めましょうか」
「おっ。プロポーズを受け入れてくれるのか?」
「はい。私も先生のこと、愛していますから」
 改めて先生と真正面から向き直って、今度は私から背伸びをしてキスをする。
「そりゃ嬉しいな」
「ですがとりあえず、大学入試が終わるまでは保留で」
「またかよ…。ああ、でも分かっているさ。じゃ、試験が終わったら、お前さんとこのご両親に挨拶に行かなきゃな」
 嬉しそうに笑う先生を見て、私も笑みを浮かべる。
 けれど心の中では、絶対に大学に受かろうと決意を固めた。
 これで落ちたりしたら、絶対に両親に結婚を反対されるから。
 前途は洋々とは言いにくいけれど、とりあえず先生との未来は明るいことが決定した。

<終わり>

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【2017/06/20 06:36】 | <Kiss>シリーズ
【タグ】 甘々  短編  キスシリーズ  キス  生徒  先生  恋愛  プロポーズ  
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