甘々・5

2017.06.13(22:47)

 わたしには一人の恋人と、一つの大きな悩みがあります。
 恋人は幼馴染でもあり、ご近所に住むお兄さん。
 高校2年のわたしと、24歳のお兄さんはパッと見は兄妹のように見えます。
 なので二人で一緒に出掛けたとしても、兄妹に見られることはしばしば。
 …そしてお兄さんを置いて、ちょっと離れると、すぐに女性達がお兄さんに声をかけます。
 お兄さんは男性にしてはキレイな顔立ちをしていますから、それはしょうがないとは思うのですが…。
 …問題はわたしが一緒にいても時々、女性達から声をかけられることです。
 女性達は兄妹だと思って声をかけたらしいのですが…物凄いショックです。
 わたしとお兄さんの仲を知っている友達から言わせると、
「色気が全くない」
 らしいのです。
 その原因を、何となくは理解しています。
 お兄さんは恋人という関係になっても、何も…恋人らしいことはしてくれないのです。
 その…キスも、まだ、なのです。
 そもそもお兄さんとの付き合いが長すぎました。
 知り合って既に10年以上が経過しているのです。
 その間に二人っきりで過ごすことは勿論、二人だけで出かけたりなんだりと、すでに一般的なお付き合いはしていました。
 でも二年前、お兄さんから「恋人になろう」と言われた時は嬉しかったです。
 …やっぱり長い付き合いをしても、お兄さんはわたしにとっては特別な人だったから。
 だけど恋人になっても、幼馴染の時の付き合いと全く変わりないです。
 時々、額や頬や手にキスをしてくれるだけで…唇には全く近付きもしません。
 こう時は、わたしからしたほうが良いのでしょうか?
 でも女の子からキスをするなんて、はしたないと思われないでしょうか?
「う~ん…」
「ん? どうかした?」
 一緒に手を繋いで歩いていたお兄さんが、わたしの顔を覗き込みます。
「いっいえ! 何でもありません」
 わたしは慌てて首を振ります。
「もしかして疲れた? どこかで休もうか?」
「えっと…そうですね。喉が渇きました」
「じゃあ喫茶店に入ろうか」
 お兄さんに手を引かれ、わたし達は喫茶店に入りました。
 落ち着いた感じの、オシャレな喫茶店です。
「何飲む?」
「そうですねぇ。じゃあミルクティーを」
「僕はコーヒーにするかな?」
 若いウエイトレスに、お兄さんが注文しますが…。
 …どことなく、ウエイトレスの顔が赤く見えるのは、わたしの目がおかしいせいでしょうか?
「むぅ…」
「ん? 何か眉間にシワ寄っているよ」
 そう言ってお兄さんはわたしの頬を優しく撫でてくれます。
「何か心配ごと?」
 …ある意味そうですが、本当はくだらない嫉妬。
「…お兄さんがモテ過ぎるので、ヤキモチを焼いちゃいます」
「ぷっ…くっくっく」
 しかしお兄さんはふき出し、声を抑えながら笑います。
「なっ何がおかしいんですか!」
「いっいや…。キミにヤキモチ焼かれると、嬉しくて…」
 顔を上げたお兄さんは、涙を浮かべるほどウケていたようですが…。
「…わたしは面白くありません」
「ん~。でも僕だってヤキモチ焼くよ?」
「お兄さんが? どうしてですか?」
 意味が分からなくて首を傾げると、お兄さんも同じように首を傾げます。
「キミが可愛くて仕方ないから。まあ気付いていないみたいだけど、キミもすごくモテるタイプだよ」
「そう…でしょうか?」
 でも告白とか、ラブレターを貰ったことはないんですけど…。
「そう。僕はそんなキミを10年間、守ってきたんだから」
 守って? …どういうふうに、でしょうか?
「そっそうですか」
 そこで注文の飲み物が来たので、一度会話は中断。
 わたしはミルクティーを飲んで、その甘さにほっと一息つきました。
「キミは本当に甘い物、好きだよね」
「はい! 甘い物はほっとします」
 けれど友達には、恋人ができたのならば少しは控えた方が良いと言われました。
 けれどわたしの恋人は幼馴染。
 逆に甘い物を口にしないと、不安な顔をされてしまいます。
「お兄さんの作るお菓子とか飲み物も大好きです」
「それは良かった。まあキッカケはキミなんだけどね」
「わたしが何かしました?」
 するとお兄さんは当時を思い出したように、笑みを浮かべます。
「アレはまだ、僕が高校生だった頃の話し。たまたま調理実習でクッキーを作って、キミにあげたら、スッゴク喜んでくれたんだよ」
「ああ…あのクッキー。はい、覚えています」
 わたしが小学生の頃、学校帰りのお兄さんと帰り道、一緒になったことがありました。
 そしてクッキーを作ったと言うので、お兄さんの部屋でごちそうになったのです。
「あの時、ミルクティーをいれてくださったんですよね。ミルクティーも美味しかったです」
「う~ん。でも実は、ちょっと失敗してたんだよね」
「どこがですか?」
 わたしの記憶では、とても美味しくクッキーもミルクティーも頂いたんですけど…。

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