フリーのシナリオライターとして活動しています
 眼を閉じ、神経を集中する。
 すると二人からゆらり陽炎のように、気が立ち上る。
 ロウソクが一気に燃え上がった。
 赤き炎が柱となり、部屋に光が満ちる。
 そしてゆっくりと開いた二人の眼は、赤く染まっていた。
 二人の放つ気と、五つの炎の光は部屋の闇を飲み込み、そして突如消えた。
「…ふぅ」
「う~。今夜はゆっくり眠れそうだよ」
 二人はぐったりとした。
 ロウソクはすでに影も形も無い。
 同じように、黒き手も無くなっていた。
「…おとなしくしていれば、壊すだけで済んだのに」
 物を移動する時は真昼間で、大勢の人を使った。
 そして普通に壊せば、その場に溜まった気も壊せるはず―だった。
 余計なことをしなければ。
 アキが言い出したあの儀式。
 実はその場に溜まる気を、練り固めるものだった。
 このプレハブ小屋のような場所で、人が何度も行き来することにより、場に溜まっている気を練り回す。
 そして強くしてしまうのだ。
「ったく…。どこで仕入れた知識なんだか」
「…言っておくけど、ボクじゃないからね」
 セツカは最初に言っておいた。


繋がる手
「まっ、何はともあれ、コレで終了だ」
「まだ、だと思うけどなぁ」
 セツカは入り口の向こうを見た。
 そこには不安げなミナと、眠り続けるフーカがいた。
 マカが出てくると、ミナが抱き付いてきた。
「マカぁ! ごめんっ、ごめんねぇ!」
 抱き付いてグスグス泣き出すミナを、マカはため息をついて抱き締めた。
「…もういいから。それより…」
 マカは少し体を離し、ミナの眼を見つめた。
「このプレハブ小屋に関わった記憶を消せ。…覚えていても、ろくなことにはならないからな」
 マカの眼が赤く光り、その光がミナの眼に映った。
 するとミナの体から力が抜け、そのまま気を失った。
「甘いですねぇ」
「うるさい。それよりそっちも頼むぞ」
「はいはい」
 ソウマの手が薄く光った。
 そのままフーカの額に触れる。
「このプレハブ小屋に関わったことは忘れなさい。あなたは何の関わりも持っていなかったんですよ」
 フーカのまぶたが何度か動いた後、静かになった。
「…これで本当に終了だ。しかし…アキは一体どこからこの儀式を…」
「しかも何だか儀式の本当の意味を分かっていなかったみたいだね。ただたんに、タッチする手が増えるってことがおもしろかったみたいだし」
 肩を竦めながら、セツカが出てきた。
「簡単な儀式法ですが、そんなポピュラーなものではありませんしね…。本家で調べてみますか?」
「ああ、そうだな」
 イマイチ納得できないマカだったが、ミナを抱え、歩き出した。
 同じようにフーカを抱え、ソウマとセツカは歩き出す。
 そんな三人の姿を、屋上から見続けているものがいた。
 黒尽くめの服装で、深くフードを被っている。
「…あ~あ。失敗しちゃったか。上手くすれば、ボクの栄養になったのに」
 軽く残念そうに言い、その人物は踵を返した。
 すると姿は闇に溶けて消えた。

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【2017/06/11 23:24】 | ★マカシリーズ★
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