フリーのシナリオライターとして活動しています
「…悪いけど、あたしにはマカがいるから」
 だからハッキリと断った。
「そっか。分かった」
 アキはアッサリと引き下がった。
 中学時代、このアキのサバサバしたところに惹かれていた。
 何にでも行動的で、自信家。
 周りがどう言おうと、自分の意思を正しいと思って進んできたアキ。
 けれど…人を傷付けることにすら、罪悪感を感じないアキに、ミナは少し恐怖を抱いていた。
 高校に入って、マカに出会ってからはそんな恐怖は抱かなかった。
 …まあアキとマカの仲が良くなかったというのもあるが。
 廊下でアキとちょっと話すことがあっても、マカは良い顔をしなかった。
 元より嫉妬深いと感じてはいたが、アキと世間話をするだけでムッとされてしまう。
 そんなマカの感情に気付いたのか、アキもマカに近付こうとはしなかった。
 まあ片や教師受けが良く、クラスメート達にも人望の厚い優等生。
 片や教師の間でも、生徒達の間でも評判が良くないギャル生徒。
 比べるまでもなく、性格的に合わないのだろう。
 だからこの誘いは断って正解だ。
 アキも何が目的で、元の鞘に戻ろうなどと言い出したのか…。
 分からないまま、校門の所でお開きになった。
 学校から近いミナは、人通りの多い所を選んだ。
 マカが最近、霧が濃いのを気にしていた。
 おかしな奴がうろつくだろうから、人通りの多く、明るい所を歩いて帰れと。
 できれば夜、出歩かないようにとも言われていてが、今夜は仕方なかった。
 ため息をつきながら歩いていると、すれ違った人と軽くぶつかった。
「あっ、ゴメンなさい」
「いえ、ボクの方こそぼんやりしていましたから」
「おや、どうかしました?」
 ぶつかったのは、ミナより幼い少年だった。
 そして少年には青年が一緒にいた。
「ちょっとぶつかっただけだよ。それよりキミ…」
「はい?」
 少年はじっとミナを見た。
 そして苦笑を浮かべる。
「―なるほど。彼女が苦労するわけだ」
「えっ?」
「あっ、いやいや。それより、あんまり危ないことには首を突っ込まない方が良いよ」
「えっ、えっ?」
 意味が分からず首を捻ると、二人は互いに苦笑いを浮かべた。
「まっ、彼女なら何とかしてくれるでしょう」
「そうだね。キミにベタ惚れだから」
 そう言って二人は歩き出した。
「えっ…」
 言われたことが分からず立ち止まっていたミナだが、ふと気付いた。
「あの男の子の声、どこかで…」

伸びる黒き手
 その夜。ミナは不思議な夢を見た。
 アキが深夜、踏み切りの前に立っていた。
 電車がもうすぐやって来る。
 アキは待っている、電車が通り過ぎるのを。
 しかし電車が目の前までやってきた時。

―アキの背後から、黒い手が伸びた。
 そしてアキの背は押され、その体は電車の前に―

「………っ!」
 電車のライトに照らされ、アキの恐怖に引きつった顔が浮かんだ。

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【2017/06/10 02:38】 | ★マカシリーズ★
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