【黒き手が…】・3

 なるほど、と納得。
 中は月の光が差し込み、薄暗かった。
 僅かに埃臭いが、それでも気になるほどではない。
「うん、やっぱりちょうど良いわね」
「何がよ。アキ、そろそろ説明してちょうだい。ここで何をやるのよ?」
「あっ、そうそう。実はね」

 アキの説明はこうだった。
 まず一人ずつ、部屋の隅に行く。
 そして一人ずつ壁伝いに歩き、前にいる人の肩をタッチする。
 タッチされた人は歩き出し、また前の人の肩をタッチする。
 タッチし終わった後は、その場で待機。
 そうやってグルグルと部屋を回るのだと。

「…それの何がおもしろいの?」
「やぁだ~。よく考えてみなさいよ。一人ずつ、位置はズレるのよ? だから途中で一人は二つの角を曲がらなければいけない。けれどもし、一人一つの角しか行かなくなったら?」
「そうなったら…」
 …一人、増えていることになる。
 つまり、ホラーだ。
 ミナは言葉に詰まった。
「じゃ、やり方の説明は終了。30分したらケータイのアラーム鳴るから、そしたらオシマイね」
 アキはそう言って、各々立つ位置を決めた。
 そしてアキ、ユマ、フーカ、ミナの順番になった。
 引き戸を閉めても、月の光が窓から差し込むので、足元は見える。
「じゃ、始めましょう」

『もう一本の手 』
 ミナは軽く息が上がっていた。
 息苦しさを感じているのだ。
 やり始めて何分経っただろうか。
 壁伝いとはいえ、同じ所をグルグル回っているせいで頭が変になりそうだった。
 しかも異変に気付いてしまった。
 順番から行けば、アキはユマにタッチする。
 そしてユマはフーカに。
 フーカはミナに。
 そしてミナはアキにと、順番は回っていく。
 本当ならば、ミナは二つの角を曲がらなければならない。
 しかし…いつの間にか、一つの角しか曲がらなくなっていた。
 それは目の前に何かあるから。
 それに触れると、自分の番が終わるからだ。
 そして順序は巡り、再び自分の番になる。
 この異変に自分以外の者が気付くとなれば、それはアキだ。
 ミナがタッチしたモノは、アキにタッチしに行くからだ。
 しかしアキもミナも声を上げない。
 同じ所を回っているせいか、疲れがきていて、気のせいだと思っているからかもしれない。
 やがて、アラームが響いた。
 それはちょうど、ミナが目の前のモノに触れようとした時だった。
「おっし! 終わりね! みんな、入り口に集まって!」
 アキの高い声で、現実に戻った気がした。
 四人はくたびれていた。
 プレハブ小屋から出た後も何も言わなかった。
 でもアキは、ユマとフーカから少し離れたミナの元へとやってきた。
「ねぇ、ミナ」
「何よ」
「前みたいに、一緒につるまない?」
「はあ?」
 何を言われたのか、理解できなかった。
 もう二人の進むべき道は違っている。
 ミナはマカと一緒にいられるところまで進むと決めた。
 それがどんな道であれ、マカの存在無しではいられないからだ。


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