フリーのシナリオライターとして活動しています
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「うっうん…。何とか」
「でも驚いたねぇ。クロウさん、ULALAちゃんのこと、好きだったんだ」
「全然知らなかったんだけどね…」
「う~ん。でもクロウさん、ずっとULALAちゃんのこと、見てたよ。リハーサルの時からずっと」
「えっ、そうなの?」
「うん…。どこかで共演とかしたの?」
「記憶にないけどなぁ。…でも確かに顔合わせをしたことはあるから、どっかでは会ってたと思うけど…」
「おーい、そこの2人! CM終わるよ」
 司会者の声で、アタシと女の子はすぐに切り替える。
「「はい!」」
 …そしてその後、彼が戻って来ることはなかった。
 司会者もあえてそこには触れなかったけど…今頃電話が鳴り響いているだろうな。
 視聴者からの、問い掛けの電話が…。


「とんだ災難だったわねぇ。うらら」
 帰り道、マネージャーの車で送ってもらいながら、アタシは深くため息を吐いた。
「ホント。これからの仕事に影響大ね。しかも返答はどうしたとやらの」
「そこは濁すしかないわね。そもそもあまりしゃべったことがないのに、クロウくん、案外情熱家なのね」
「本当におバカだったのね。アタシの本性も知らず、表の顔に騙されているんだもの」
「そのぐらい、アナタの演技力がスゴイってことでしょ? まっ、騒がれるけど、その分、仕事も入ると思うから」
「嬉しいような、ありがたくないような…」
「でもどうするの? クロウくんのこと。OKならばこっちもそういう対応するけど?」
「事務所的にはOK?」
「ウチは不倫とかめんどくさい恋愛じゃない限り、OKよ。縛ったって、しちゃうもんはしちゃうし。下手に縛り付けたって意味ないわよ」
「理解のあるこって…」
「で? どうするの?」
「…ちょっと考えさせてくれる?」
「分かった。でもあんまり時間はかけないでね」
「ラジャ」


 家に着いた後、アタシは自室に戻った。
 家族と同居しているけど、もう夜も遅く、リビングには両親が晩酌をしていた。
「ただいまぁ」
「おかえりぃ」
「お疲れさん」
 ウチは余計な干渉はしない主義だ。話したいことがあるなら、自ら話さなければ誰も何もしない。
 一見冷たいようだが、反抗期の時ほどありがたいと思ったことはない。
 そして今も、芸能生活に疲れているアタシを呼び止め、アレコレ聞いてこないのが嬉しい。
 部屋で着替えた後、シャワーを浴びに行こうと思っていたら、ケータイがブルッた。
 画面を見ると、何とクロウから!
 …いつナンバー交換したっけ? こういうの、アタシはあまりしないタイプなんだけどな。
 まあ何はともあれ、出ないとイロイロあるだろう。
「―はい。ULALAです」
『あっ、ULALAさん! クロウです! 今、大丈夫ですか?』
 …彼は深夜とも思えないぐらい、ハイテンションだった。
 疲れた体にはキツイな…。
「ええ、大丈夫です」
 顔は引きつりながらも、声はULALAを装う。
『今日は本当にすみません! オレ、舞い上がっちゃって…』
「はい、びっくりしました。マネージャーさんに怒られちゃいましたよね?」
『うん、こってり…』
 ご愁傷様、と冷めた顔で思った。
『それで…返事、なんだけど。ULALAさんはどうかな? オレのこと…』
「えっと…。クロウくん、アタシのどんなところを気に入ってくれたのかな? そこ、聞いてなかったから」
『あっ、そうだったよね。ゴメン。オレ、自分のことでいっぱいで。でもULALAさんのこと、真剣だから! ひっ一目惚れだったけど、本気で好きなんだ!』
 ―ウソ。だったらアタシのウソを、見抜けたはずだ。
 そんな冷めた考えをしながら、アタシは少し考えた。
 元々芸能界に長くいるつもりはない。
 若く可愛いウチに、ちょっと稼ぎたかっただけ。
 自分が1番輝いていた時期を、芸能界という記録に残したいと思ったのが、始まりだった。
 だから…別に芸能人と付き合うことも、そのうちの1つと考えれば良いのかも。
 別れる時が、アタシが芸能界を引退する時だと考えれば…そう悪くはないかもしれない。
 彼は悪い人では無さそうだし。
 …逆にアタシの方が、悪い人だ。
「…じゃあ、アタシで良いなら、お願いするわ」


にほんブログ村←よかったら、ぽちっと押してください。

スポンサーサイト

【2017/05/28 07:41】 | 恋愛小説
トラックバック(0) |
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。