よくあの兄は笑顔を絶やさず、こなせたもんだ。
「やぁやぁ、ご苦労さん」
…と思ってはいけなかったな。
本人が笑顔でやって来た。
「お兄様、この忙しい時に何かご用?」
「そう邪険にするなよ。トラブルが起きたんだって? 手伝ってやるよ」
そう言ってわたしの頭を撫でる。
「でもお兄様、授業があるでしょう?」
引退の身では、特権は使えない。
「一日ぐらい平気だって。成績は優秀だからな、オレ」
だからと言って、堂々とサボる発言はやめてほしい。
「魅桜、ここは兄上にも手伝ってもらおう。流石にあたし達だけでは手が回らない」
蘭も音を上げるほど、忙しいのだ。
「…まあね。じゃあお兄様、お願いします」
「あいよ。可愛い妹の為、頑張りますか」
そうして兄は、笑みを絶やさずに次々と仕事をこなしていった。
お昼休みを一時間ほど過ぎた後、わたしと兄は遅い昼食をカフェテリアで取っていた。
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