フリーのシナリオライターとして活動しています
 光雅と一緒とは言え、さすがに家を出ることを告げた時、二人はかなり動揺していたっけ。
 一応オレがいる場所が自分達の帰る場所だと思っていたらしい。大学もてっきりマンションから通うものだと考えていたみたいだ。
 引っ越す準備をはじめてからというもの、二人はマンションで生活することが多くなった。少しは寂しく感じていたんだろう。ちょっと皮肉なもんだ。
「大学近くには二人の店もあるし、たまには顔を見せた方が良いよ」
「まっ、気が向いたらな」
 光雅は大学受験が終わった後から、新居の方へ住んでいた。いろいろと準備することがあるからと、一足先に移ったのだ。
 この一年、光雅はオレが思っていた通り、パソコンで収入を得ていた。…どういうやり方かは知りたくもないが、かなりの大金が光雅の元へ集まったらしい。
 何せ車の免許を取ったと思ったら、すぐに新車を購入した。そしてこれから向かう新居だって、一戸建ての庭付き。中は二階建てで地下一階もある。
 都心に一戸建てを購入するなんて…と思ったが、光雅のご両親は不動産を営んでいたことを思い出した。
「これから綾と一緒に暮らせる上、同じ大学に通えるなんて嬉しいな」
「まぁた同じこと言いやがって。まあ大学のことは感謝しているよ」
「良い家庭教師だっただろう?」
「そうだな。そこは認める」
 光雅が勉強を教えてくれたおかげで、オレは次点で合格できた。
 首席はもちろん、光雅だ。…全教科満点なんて、オレには絶対ムリだし。
 やがて景色が見慣れたものから、見知らぬ土地へと変わる。大学は高級住宅地の側にあり、オレ達の新居もそこだ。
 ガレージに車を入れて、家の中に入る。インテリアは品良く落ち着いた家具で統一されている。光雅のセンスは相変わらず良いな。
「今日から改めてよろしく、綾」
「ああ、よろしくな。光雅」
 改まって握手をすると、ちょっと恥ずかしい。
 けれど光雅は何故か、少し悲しそうな表情をする。
「ん? どうかした?」
「…いや。制服姿の綾を見るのも今日で終わりかと思うと、ちょっと寂しくて…」
 …オレには理解できない感情だな、うん。
 呆れていると、握手をしている手を引っ張られ、抱き締められた。
「わわっ! 何だよ、いきなりっ!」
「綾、このままベッドルームへ行こう?」
「…ホントにいきなりだな」
 制服姿を惜しむあまり、この格好のままとか考えたな?
 まあ…これで本当に最後だと思えば、断ることもないだろう。
「別に良いケド…」
「うん!」
 相変わらず綺麗に笑うんだな。
 二階にあるベッドルームは、カーテンがしまっていた。
「まさか計画的だったとか言わないよな?」
「今朝はバタバタしてたんだよ」
 確かにベッドは乱れた跡がある。
「ここんとこ、綾と離れてて寂しかった。でもそれも今日までだね」
 後ろから抱き締められて、オレは苦笑した。
 こんな情けない顔も、見るのは久し振りだ。
「ああ、オレも寂しかった」
 顔だけ振り返り、キスをする。
「ふふっ。ずっと一緒にいよう、綾」
「そうだな」
 死すらオレ達を別つことはできない。
 ずっと一緒だ。
 他の誰にも、何物にも眼を向けず、お互いの関心は自分達にしか向かない。
 甘い鎖は、きっといつまでも解くことは無い。



【終わり】

★読んでいただき、ありがとうございました!
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【2011/05/04 19:46】 | BL・<甘い鎖>
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 光雅はハンバーガーを弁当箱へ戻し、口元を手で押さえた。考え込む仕種だ。
「ん~。つまりそれが綾の妥協案?」
「…まあそういうことだ。留年なんて厄介なこと、してほしくない」
 ついでに言えば、同じ学年にはなってほしくはない。コレは絶対にだ!
「う~ん…。一年の時間潰しがかなり問題だけど…そうだな。綾がボクの提案を一つ、受け入れてくれたら叶えてあげる」
「…光雅の提案って、何?」
 かなーりイヤ~な予感がしたが、聞かずにはいられない。
「一緒に暮らそう、綾」
 しかし照れながら言われた言葉に、オレは首を傾げた。
「今もほとんど一緒だろうが」
 オレの両親はほとんどマンションに帰ってこないし、光雅もウチに泊まることが多い。今も同居しているようなもんだ。
「それでも実家は別々だろう? 同じ所に住みたいんだ」
「大して今と変わらないだろう?」
「変わるよ! ボクと綾だけしかいない家が欲しいんだ!」
 …コイツは実の両親も邪魔なのかよ?
 オレは深く深くため息をつかずにはいられなかった。
「借りる部屋とかは?」
「ボクの方で用意するよ。大学に近い所が良いよね?」
 確かに今住んでいるマンションから、大学に通うのは不便だ。
「まあ、な。でもバイトしないと、引越し費用が…」
「それもボクの方で用意するよ。一年間、時間があるんだから」
 光雅のバイト…いや、きっとパソコンを使ってイロイロやるんだろう。モデルとかの話は山ほど来ているが、面倒だと断り続けているし。
 光雅なら、情報を金にすることができそうだ。
「あっそ…。なら大学に入ったら同居しよう。それで大人しく進級・卒業するんだな?」
「もちろん! ああ、今から楽しみだなぁ。どういう家に住もう」
 どこへ行っても、何をやっても、光雅は変わらないだろうな。相変わらずオレを好きなままで、オレを中心に生きる。
 そしてそんな光雅をオレは…。
「…ん? どうかした、綾。ニコニコしてる」
「そりゃ光雅の方だろう?」
 嬉しそうに語る光雅。こんな表情、オレだけしか知らない。そう考えると嬉しく思ってしまう。
「だって嬉しいもの。ああ、早く綾と二人だけで住みたいなぁ。大学に行く時も一緒で…本当に夢みたいだ」
 白い頬を赤く染めながら、夢見心地で話す光雅に、オレは寄り掛かった。
「綾?」
「大学受験、頑張ろうと思って。光雅と同じとこなら、かなり努力しなきゃいけないからさ」
「それならボクが勉強を教えるよ。大丈夫、必ず二人同じ所に行けるから」
 余裕の笑みを浮かべ、肩を抱き締めてくれる光雅。こういう時は、頼もしく思える。
「ああ、頼むぜ」





「って、あっという間に卒業かよ」
 桜吹雪を浴びながら、オレは卒業証書の筒を持って、学び舎を見上げた。
 光雅は約束どおり、大人しく一年前卒業した。
 その時の光景は…思い出したしたくもなかった。卒業を惜しむ生徒達や教師達の涙が雨のように流れ、声は近所迷惑だと苦情がくるほどうるさかった。
 しかし今は静かなもの。みんな寂しさはあるけれど、晴れやかな笑顔だ。さすがに進学校と名高いだけに、卒業生はみんな有名大学への進学が決まった。だから大学へ行っても、顔を合わせるヤツらは多いだろうな。
「ヤス、二年間、生徒会お疲れさん」
「本当にご苦労様だったな」
「安恵先輩、大学でもお元気で」
 同級生、担任、後輩と、次々に声をかけられる。
 結局オレは二年で会長になり、二期に渡って生徒会に所属してしまった。光雅と同じ大学へ行くには、少しでも内申書を良くしておきたかった。
「ああ、お疲れさん。みんな、元気で」
 笑顔で手を振り、校門を出た。
 はじめは通うのもイヤだったが、今では良い思い出しかないのは皮肉なもんだ。
 オレも大人になったのかな? 肩を竦めながら歩くと、目の前に見覚えのある車を見つけた。運転席に座っているのは…。
「光雅」
 スーツ姿の光雅だった。
 オレは駆け寄り、助手席に乗り込んだ。
「何だ、来てたんだ。顔を出せば良かった」
「騒がれるのは不本意だったからね。綾だって、イヤだろう?」
「まあ…な」
 未だに根強いファンがいる。光雅が少しでも顔を見せれば、卒業式はパニックになっていただろう。
「このまま新居へ向かって大丈夫だよね?」
「ああ、親は先に帰した。また後で顔を出すよう、言われたけどな」
 引っ越しは大学に受かってから、少しずつやっていた。

【2011/05/03 11:10】 | BL・<甘い鎖>
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 今も自分の部屋のベッドに寝かされていたが、全く体が言うことを聞かなかった。
「水、飲む?」
「…飲ませろよ」
「はいはい」
 起き上がるのも億劫だった。
 だから光雅が水を口に含み、キスしてきた時も拒まなかった。口移しで飲まされた水は、何故かとても甘い。
「今日はもう寝ようか。宿題は明日の朝、見てあげるから」
「そうしてくれ。もう疲れて眠い」
「分かったよ」
 光雅はオレのベッドの中に入ってくる。男二人では狭く感じるが、抱き締められればそれも感じなくなる。
 ―大体、風呂場で色っぽく見えたのは、光雅の方だ。艶めかしく見えたからこそ、オレは…って、ダメだ! 思い出すと、下半身が反応してしまう。
 二回目はさすがにムリだ。明日、学校へ行けなくなる。
「じゃあおやすみ。綾」
「うん…。おやすみ、光雅」
 光雅のぬくもりと匂いを感じながら、オレは目を閉じた。



「はぁあ~」
「何だ何だ。ヤス、今日は一段と深いため息だなぁ」
「ため息は幸せが逃げるんだぞぉ」
「もう幸せがどういうものか、忘れちまったよ」
 いつも通りの教室で、いつものクラスメート達が話しかけてくる。
 そこでふと、光雅との昨夜の会話を思い出した。あの留年してどうとかというヤツ…。
「なぁ、もし光雅みたいなのが同級生としていたらどうよ?」
 ふと疑問に思って、言ってみた。
 するとクラスメート達は何とも言えないような、複雑な表情をする。
「どうってなぁ…。毎日、天国と地獄を味わうようなもんだろう?」
「良いような悪いような…。今の距離感が一番良いと思うぜ?」
 近過ぎず、遠過ぎず。当たり障りのないところから眺めるのが一番良いんだろうな。真宮光雅という存在は、その方が人畜無害だ。
 オレみたいに長く・深く関わると、ロクな眼に合わないからな。
「そういやぁ、ヤス。お前、生徒会会長になるのかよ?」
「何でだよ? オレは書記になったのだって、奇跡みたいなモンだぞ? あるいは光雅の権力によって、だな」
「奇跡や真宮会長の権力だけではなれねーっつぅの。お前、結構優秀なんだぞ? なろうと思ったら、会長にだってなれる」
「ゴメンだね。前例が優秀過ぎる跡継ぎなんて、遠慮するわ」
 オレの言葉に同意するように、二人は苦笑した。
 しかし光雅の後釜になろうとする人間はほとんどいない。
 だからオレは中学時代、光雅の後の生徒会長をやらされたぐらいだ。他の人間が全くやりたがらないので、教師達に泣き付かれて渋々だった。
「まっ、その辺は真宮会長と話をしろよ」
「そうそう。次期生徒会選挙、そろそろはじまるだろうし」
「オレはとにかくイヤだと言っておく」
 オレの意見なんて、そもそも通じる方がおかしいとは思っていたが…。
「生徒会選挙? 綾、会長になりたいのか? それならボクは力になるけど…」
「いや、絶対になりたくないから、口出しもしないでほしい」
 昼休み、いつものように二人だけで昼食。今日は洋風でハンバーガーとサラダ、それにフライドポテト。…何故、出来立てのように温かいのかは置いといて。
「ていうか、てっきりやれって言うのかと思った」
「そう? でもやりたくないんだろう?」
「やりたくはないけど、書記の時は無理やりやらせただろう?」
「それは会長であるボクの側にいてほしいから。会長となると、話は別」
 確かに中学の時も、光雅が会長でオレは書記だった。しかし光雅が卒業する時には、生徒会のことは何も言わなかったっけ。…相変わらずワガママなヤツだ。
「―で、留年とやらは考え直したか?」
「どうして?」
 真顔で首を傾げやがった。
 だがオレはあえて感情を抑える。そしてクラスメートとの会話を思い出しながら、隣に座る光雅に言った。
「オレさ、やっぱり距離感って大事だと思うんだ」
「うん」
「お前がオレと一緒にいたいって思うのはよく分かるけど、でも一つの歳の差は大事にしたいんだ」
「ああ」
「だから今のままで良いだろう? 大人しく進級して、卒業してくれ。大学は…一年待っててもいいからさ」
 高校ぐらいは平穏に一年間、送らせてほしい。せめてもの妥協だった。
「う…ん。それじゃあ綾は、ボクがこのまま進級して、卒業してほしいんだ? そして一年時間を潰して、同じ時期に大学へ入ろうって?」
「ああ、そうだ」

【2011/05/02 19:42】 | BL・<甘い鎖>
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「ふぁっ…」
 下半身にぞくっと甘い痺れが走る。
 光雅はそのまま口に含み、吸い付く。みるみる赤くなり、芯を持ってしまう。もう片方の乳首を、光雅の手が抓んだり、または押し潰して捏ねたりする。
 そのたびに性器がびくんびくんっと反応するのを楽しむように、光雅は愛撫を繰り返す。
 オレはたまらなくなって、光雅の頭ごと抱えた。濡れてしっとりした髪は、だけど絹糸のように綺麗で手触りが良かった。
 …光雅と離れたいと思う気持ちがあるのは正直あった。
 けれどこんなに綺麗な男に愛されている喜びの方が勝ってしまうんだから、オレは意思が弱いのかもしれない。
「光雅ぁ…」
「んっ…そろそろイこうか」
 光雅は顔を上げて、にっこり微笑んだ。
 オレの太ももに手を当てて、ぐっと奥へ進んだ。
「うあぁっ」
 ズンッと衝撃が体に走った。一番奥まで入り込んだ熱は、重くて硬い…!
 無我夢中になって、光雅の背中にしがみ付いた。
「ああっ…! やっぱり綾の中は最高だ。ずっとこうしていたい」
 そして唇を寄せ、深く口付けを交わす。角度を変え、何度も啄ばむように触れては、深く濃厚なディープキスへと変わる。
 オレも自ら舌を伸ばし、光雅の舌と絡める。深く、熱く、吐息まで溶け合う感じがたまらなかった。
 風呂の熱気のせいだけじゃない。光雅の熱によって、身も心も溶けて熱くなる。
「ふっ、んん…。光雅、光雅っ…!」
 オレは光雅の首元に顔を埋めた。光雅の良い匂いに頭の中が痺れる。
「うん、綾。イくよ」
 光雅は腕をオレの腰に回し、動き始めた。最初はゆっくりと先端を残すまで引き抜き、また一番奥まで入れる。そして軽く何度か動いては、また引き抜いての繰り返し。
 だけどだんだん息が上がり、動きも早くなった。
「あっあっ、光雅っ、早いっ…!」
「でも悪くないだろう? 綾だって気持ちよくなってる」
 二人の腹の間で擦れている性器が、すでに興奮して精液を垂らして、ビクビクと動いていた。
 顔に一気に血が上る。そんなオレを見てほしくなくて、より強く光雅にしがみ付いた。
「綾、ボクを離さないでっ…! ずっとこのまま側にいて」
 荒い息の中、切なげに言うのは卑怯だ…!
 頭の中が真っ白の状態で言われたら、受け入れるしかなくなる。
「ああ…光雅、良いぜ。アンタがオレを選ぶのなら、オレだってアンタをっ…」
「綾っ…!」
 二人の視線が絡まり合い、再び深くキスをする。
 オレの中の光雅がよりいっそう大きくなった。二人とも限界が近い。
 夢中になって腰を振り、絶頂を迎えたくて何度も光雅の名を呼ぶ。
 きっと誰よりも何よりも口に出してきた名前、そしてこれからも言い続けるんだろう。
 ―最愛の人の名を。
「ああっ…、光雅ぁ、イクイクっ!」
「んっ…。一緒にイこう?」
 オレの頭を優しく撫でる光雅の手。
 気持ち良くて、眼を細めてしまう。ずっと昔から、こうやって触れられると安心した。
 だから身を任せてしまう。
 両足が突っ張ってきた。―限界が近い。
 光雅の動きももっと早くなる。二人の息が上がる。
 光雅の手がオレの性器に触れ、強く上下に扱いてきた。それだけでもう絶頂に達してしまった。
「ぅあああっ!」
 光雅の導きのままに、オレはどっと精液を放った。
「うっく…!」
 押し殺した声が、耳に届く。達して腹に力が入ってしまった為、中にいる光雅を締め付けてしまった。
 それが引き金となり、光雅もまた、オレの中でイった。熱い精液が何度も腹の中に放出され、オレもまた何度も放ってしまった。
 二人の精液の匂いが、バスルームの中に満ちる。
 意識が何度も白く霞む。けれど光雅がオレを強く抱き締め、顔中にキスをしてくるものだから、ぼんやりと意識はあった。
「…どこが可愛がるんだよ? 思いっきり無茶しやがって…」
「ちゃんと可愛がっただろう? 綾、スッゴク感じてたし」
 コイツにとって、羞恥プレイが可愛がることかよ。
 オレは思いっきり深く息を吐いた。



「……もう風呂場では絶対ヤらねぇ」
「そう? 綾がいつもより色っぽくなるから、ボクはまたヤりたいなぁ」
 アレからオレは光雅に後処理をしてもらい、全身を洗ってもらった。…風呂場でヤッたせいか、思いのほか、体力が無くなっていたからだ。
 指一本動かすのもムリで、風呂から上がった後も、全身を拭いてもらったり、着替えさせたり、髪を乾かしてもらったりもした。
 光雅は終始満足げに微笑んでいたが、オレにとってはとんでもない。

【2011/05/01 15:10】 | BL・<甘い鎖>
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「やらっ!」
「じゃないと、痛い目に合うのは綾の方だけど?」
 甘く耳元で囁かれるも、否定することは許さないと無言の圧力をかけてきている。
 仕方なく軽く息を吐き、オレは両手で光雅の手を掴んだ。
「んんっ、はぁ…」
 口を閉じて、三本の指に舌を這わせる。関節や爪の部分にも、唾液を絡ませる。ここでしっかりやっとかないと、後で本当にひどい目に合わせられるからだ。
「ふふっ、上手上手。じゃあ、そろそろはじめようか」
 腰に回していた腕を引いて、湯船から立ち上がった。
「ホラ、壁に手を付いて。腰を上げて」
「うっ…!」
 口の中からズルッと指が出た。けれど安堵する間も無く両手は壁に押し付けられ、腰を掴まれ、上げられた。そしてオレの唾液に濡れた指が一本、後ろの窪みにズブッと入れられる。
「あっ! いっいきなり入れるなよ」
「充分に濡れているから、痛くはないだろう?」
 確かに痛くはないが、違和感はある。顔だけ振り向くと、入れられた指は中指だ。…よりにもよって、一番長い指で躊躇い無くいきなり入れるか? 不満に思っているうちにも、指は何度も行き来する。
「ううっ…」
 ぞくぞくっと背筋に痺れが走る。今まで何度もされている行為だけど、やっぱり慣れない。
「体があったまって、柔らかくなってる。コレなら三本ぐらい、大丈夫だよね?」
「へっ…うわあっ」
 いきなり三本の指が入れられた。
「ちょっ、やめっ」
 さすがに腰が引けたがすぐに捕まれ、戻される。
 三本に増やされた指は、根元まで一気にねじ込まれた。そして慣れる間もなく、スピードを上げて指は出し入れされる。
「あっあっ、ああっ…!」
 ぐっと奥まで入った指が、一番感じる部分に触れた。
「やっ! ダメだって、そこはっ」
「ココが一番感じる場所だろう? ほぅら、反応してる」
 楽しそうに笑って、光雅はオレの熱に触れる。
「うっ…やめっ、触るなよ」
「触っちゃダメなの? じゃあ、止める」
 光雅はアッサリと手を放した。…が、コレは恐ろしいことの前触れのような気がする。
 そもそもコイツは人の言うことをおとなしく聞くタイプじゃない。
「こっち向いて。綾」
 指をも引き抜き、肩を捕まれ、正面で向き合った。
「愛しているよ、綾」
 思わず息を飲むほどの魅惑的な笑みを見せられ、一瞬気が遠のく。
 その間に光雅は膝を付き、熱くなっているオレの性器を口に含んだ。
「うわっ! ちょっ、何をっ」
「んっ…。だって触るのはダメなんだろう? なら舐めてあげるよ」
 やっぱりコイツ、一筋縄ではいかない!
 躊躇い無く性器を根元まで含み、舌を動かし始めた。裏筋に舌を這わせながら、頬を窄ませ、唾液を絡めてくる。
「あっ、ああっ!」
 硬くなり、反応してしまう自分自身をどうすることもできない。
 光雅に与えられる刺激は、全て気持ちが良かった。…いや、感じる体に変えられてしまったんだ。
 先端から欲望が滲み出始めている。
 うっすらと開けた眼に映るのは、綺麗な男がオレのを咥えている姿。ゾクゾクしてしまう…!
 光雅は先走りを舌で伸ばし、全体に塗り込めて良く。ジュブジュブと淫猥な音が、バスルームに響く。せり上がった袋を手で握られると、一際強い快感が背筋を通った。
 後ろに引くも、壁が背に当たるだけで逃れられない。
「こぅがっ、もうイきそう…!」
 上がる息の中で言うと、光雅はズルッと性器を口から出した。粘ついた液体が光雅の口元を濡らしている。
「イく時は一緒に、ね?」
 欲望に満ちた笑みで言われても、怖いだけなんだが…。
 光雅はオレの片足を上げて、バスタブの縁に置かせた。そして抱き締めてきた。
「大好き、綾」
「ああ…」
 息を吐くのと同時に答える。光雅はオレに返事を求めない。
 もうオレの気持ちを分かっているかなのかは知らないけれど、それがありがたくもあり…また寂しくもあった。
 後ろの窪みに、光雅の欲望が当たる。ぬるっとした感触と共に、一気にねじ込まれた!
「ああっ!」
 熱い杭で貫かれる衝撃に、眼が眩んだ。しかし途中で止まる。そこで軽く揺さぶられると、腰と足がガクガクと震えた。
「やっやめっ…!」
 光雅の先端が、オレの弱い部分をわざと攻めている。
「ふふっ。相変わらず綾の中は温かくて柔らかくて最高だ」
 眼には野性的な光を宿しながらも、口では笑みを形付ける。そして乳首に顔を寄せ、ザラザラした舌の表面でねっとりと舐めあげた。

【2011/04/30 17:36】 | BL・<甘い鎖>
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